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2024年11月26日

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所定内労働時間134時間の全国平均、残業時間の地域格差が明確に

毎月勤労統計調査地方調査 令和6年6月分結果概要 事業所規模30人以上 調査産業計(厚労省)

日本全国および各地域における労働環境の状況について、最新の統計データを基にした分析結果が発表されました。このデータには、労働者数や労働時間、給与総額などが詳細に記録されています。特に企業の採用担当者にとっては、地域ごとの労働環境や給与水準の違いを把握することで、採用戦略や労働環境改善の指針を得ることができるでしょう。

まず、全国の統計を見ると、常用労働者数は3,117万人以上に達しており、平均的な総実労働時間は145.6時間でした。このうち所定内労働時間が134時間、所定外労働時間が11.6時間と、全体の労働時間に占める残業時間の割合が比較的低いことが分かります。また、労働者の平均出勤日数は18.3日とされ、月間ベースでほぼ標準的な出勤日数を確保しています。

次に、給与面について注目すると、現金給与総額の全国平均は60万2,589円でした。そのうち「きまって支給する給与」が31万7,112円、「所定内給与」が29万2,818円、さらに「特別給与」が28万5,477円となっています。これらの数字は、全国的に安定した給与支給がなされていることを示しており、特別給与の水準も比較的高い点が特徴です。

地域別に見ると、例えば北海道では常用労働者数が約100万人で、総実労働時間は142.9時間と全国平均よりわずかに低めですが、給与面では現金給与総額が48万3,497円と全国平均を下回っています。一方、東北地方の中では宮城県が比較的高い給与水準を維持しており、現金給与総額が56万3,482円とされています。さらに所定外労働時間が他の地域よりも高い11.9時間となっており、これが給与の上昇要因の一つと考えられます。

労働時間に関しては、青森県が特徴的で、総実労働時間が152.1時間と全国平均を大きく上回っています。このうち所定外労働時間が10.2時間と比較的短いため、所定内労働時間の長さが全体の労働時間を押し上げていることが分かります。同時に、給与水準は43万7,041円と低めに抑えられているため、労働時間と給与のバランスについて改善が求められる可能性があります。

これらの統計から見えてくるのは、地域ごとの経済状況や産業構造に基づく労働環境の違いです。都市部では労働時間が短く、給与水準が高い傾向が見られる一方で、地方では労働時間が長く、給与が抑えられる傾向があります。採用担当者にとっては、このような背景を理解し、地域特性に応じた柔軟な採用方針を策定することが求められます。

例えば、労働時間の長さが給与水準に反映されていない地域では、給与体系の見直しやインセンティブの強化を図ることが有効です。また、特別給与が高い地域では、それをアピールポイントとして採用活動を行うことで、応募者の関心を引きやすくなるでしょう。

このように、全国および地域別の労働統計データは、採用活動における重要な参考材料となります。特に新卒採用や中途採用において、地域ごとの特性を理解した上で労働環境や給与体系を提示することで、企業の魅力を効果的に伝えることができるでしょう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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