2025年3月8日
労務・人事ニュース
振動に関する苦情4,267件!最多は建設作業で全体の68.9%を占める(令和5年度振動規制法等施行状況調査)
令和5年度振動規制法等施行状況調査の結果について(環境省)
環境省は2025年2月21日、「令和5年度振動規制法等施行状況調査」の結果を公表した。本調査は、全国の都道府県、市町村、特別区を対象に、振動規制法に基づく各種措置の施行状況を把握し、振動防止行政の推進に役立てることを目的として毎年実施されている。今回の報告では、振動に関する苦情の件数、規制地域の指定状況、規制対象となる工場・事業場や建設作業の届出件数、行政措置の実施状況などが詳細にまとめられた。
令和5年度における振動に関する苦情件数は4,267件となり、前年度の4,449件から182件減少し、前年比4.1%の減少となった。苦情の内容を分析すると、最も多かったのは建設作業に関するもので2,940件に達し、全体の68.9%を占めた。次いで、工場・事業場に関する苦情が736件(17.2%)、道路交通に関連する苦情が316件(7.4%)となった。これらのデータから、振動の発生源として建設作業が最も多くの苦情を引き起こしていることが明らかになった。
振動規制法に基づく規制地域の指定状況についても報告された。令和5年度末時点で、全国の市区町村のうち1,256市区町村(全体の72.1%)が規制地域として指定されており、前年度と同じ数を維持している。また、規制対象となる工場・事業場(特定工場等)の総数は128,558件であり、前年度の128,134件から424件増加した。さらに、規制対象となる建設作業(特定建設作業)の総届出件数は52,255件で、前年度の51,928件から327件増加した。この結果から、工場・事業場や建設作業に対する規制の適用が着実に進んでいることが分かる。
振動規制法に基づく行政措置の状況については、特定工場等に関する苦情の件数は69件であり、前年度の110件から41件減少した。これに伴い、振動規制法に基づく報告の徴収は5件(前年度23件)、立入検査は39件(前年度44件)、振動の測定は14件(前年度13件)と、それぞれ減少傾向にある。測定の結果、規制基準を超えていた事例は2件であり、前年度と同じ件数となった。このことから、特定工場等における振動対策が一定の水準を維持していることが伺える。一方で、行政指導の件数は37件(前年度46件)と減少し、改善勧告および改善命令は0件(前年度0件)となった。
特定建設作業に関する苦情の件数は594件となり、前年度の752件から158件減少した。行政措置として、振動規制法に基づく報告の徴収は54件(前年度129件)、立入検査は373件(前年度485件)、振動の測定は60件(前年度59件)と、それぞれ減少傾向にある。一方で、測定の結果、規制基準を超えていた事例は6件となり、前年度の4件から増加した。この増加傾向を受け、建設作業における振動対策のさらなる強化が求められる状況にある。また、特定建設作業に関する行政指導の件数は403件(前年度520件)と減少し、改善勧告および改善命令は0件(前年度0件)となった。
環境省は今回の調査結果を踏まえ、引き続き自治体と連携し、振動防止対策の強化を進める方針を示している。特に、都市部の建設作業による振動対策の徹底、工場・事業場における機械設備の振動管理の強化、道路交通における騒音・振動対策の改善が求められる。また、振動監視の効率化を図るため、IoT技術やAIを活用した監視システムの導入が期待される。リアルタイムで振動レベルを監視し、異常が発生した際に自動通知を行うシステムの開発が進められており、これらの技術の活用による振動対策の高度化が求められる。
今後、環境省は今回の調査結果をもとに、具体的な政策の立案を進め、規制のさらなる強化や対策の拡充を検討する。特に、振動に関する苦情が多い業種や地域については、より効果的な措置を講じることが求められる。
⇒ 詳しくは環境省のWEBサイトへ