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2024年11月30日

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操縦士の健康管理制度が刷新、加齢乗員の検査開始年齢を65歳へ

「航空医学分野の規制等に関する検討会」とりまとめの公表 ~操縦士の健康管理制度、アルコール検査制度等を見直します~(国交省)

令和6年11月22日、国土交通省は操縦士の健康管理制度やアルコール検査制度の見直しに向けた有識者検討会の結果を公表しました。この検討会では、操縦士の健康維持と向上、さらには高齢化が進む中での人材確保や活用を目的に、制度の改正や新たな取り組みの方向性がまとめられました。

近年、航空需要の増加に伴い、操縦士の健康問題は航空業界において喫緊の課題となっています。国土交通省は令和6年3月に「航空医学分野の規制等に関する検討会」を設置し、加齢による影響を受ける操縦士に対する付加検査制度の見直しや、日常的な健康管理の充実、アルコール検査制度の合理化などについて議論を進めてきました。この結果、操縦士が安心して業務を遂行できる環境を整備するための具体的な方策が示されました。

まず、現在60歳以上を対象としている加齢乗員の付加検査について、国際基準を考慮し、開始年齢を65歳に引き上げる方針が決まりました。これに加え、航空会社に対して健康管理の目標値設定や健康指導の実施を義務づけることで、日常的な健康管理の質を向上させる取り組みが求められます。

また、将来の航空運送事業で利用が見込まれる「空飛ぶクルマ」のような新しい航空機に関しても、高齢操縦士の活用を促進するための方策が検討されました。具体的には、付加検査に合格した操縦士であれば60歳以上でも単独運航を認める方針が打ち出されています。これにより、高齢化社会においても操縦士としてのキャリアを継続しやすい環境が整うことが期待されます。

さらに、操縦士や客室乗務員に義務付けられているアルコール検査については、現在の一律的な運用を見直す方向性が示されました。航空会社が教育訓練や健康管理を強化し、業務中の乗務員同士の相互確認を徹底することで、乗務後検査の合理化を図るとしています。一方で、飲酒防止対策が十分でない場合には、アルコール検知器を用いた抜き打ち検査の実施が検討されることになります。

また、操縦士の身体検査を担当する指定検査機関や指定医の確保・能力向上も重要な課題です。このため、講習会の開催方法を見直し、その内容をさらに充実させる方針も盛り込まれています。

今回の検討結果は、操縦士の健康や安全を守るだけでなく、航空業界全体の持続可能性を高める上で重要な一歩です。今後、制度改正を通じて具体的な取り組みが進められることが期待されています。航空関係者や操縦士の皆様には、本公表内容を参考に、健康管理や業務体制の見直しに取り組んでいただきたいと思います。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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