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2025年3月11日

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教育・学習支援業の平均月給は400,238円!前年比3.0%増で安定した給与水準を維持(毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報)

毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報 第1表 月間現金給与額(厚労省)教育,学習支援業

令和6年の毎月勤労統計調査によると、教育・学習支援業の平均月間現金給与額は400,238円であり、前年比3.0%の増加が確認されている。この増加率は全産業平均の2.8%をやや上回る水準であり、教育業界における賃金上昇の傾向を示している。特に、ボーナスの増加率が高く、年間給与の向上に寄与している点が特徴的である。

給与の内訳を詳しく見ると、基本給に該当する「きまって支給される給与」は303,051円で、前年比0.8%の増加が見られる。この増加率は他業界と比較すると低めであり、教育・学習支援業界の給与水準の上昇が限定的であることを示唆している。特に、公立学校や私立学校などの教育機関では、給与改定の幅が小さいことが要因として考えられる。一方で、学習塾やオンライン教育サービスを提供する企業では、成果報酬型の給与体系を導入するケースが増えており、固定給の増加は限定的ながらも、インセンティブ制度を活用して総支給額を増やす動きが見られる。

また、時間外手当を含む所定外給与は6,787円で、前年比1.2%の減少となった。このデータから、教育・学習支援業界では、時間外労働が若干減少傾向にあることが分かる。特に、学校教育の分野では働き方改革の影響を受け、教員の勤務時間短縮が進められていることが影響していると考えられる。一方で、学習塾や予備校などの分野では、依然として夜間勤務や休日勤務が発生しやすく、時間外労働が発生しやすい状況が続いている。

一方、特別に支払われた給与、いわゆるボーナスに該当する部分は97,187円で、前年比10.9%の増加が記録されている。この増加率は他業界と比較しても高く、教育・学習支援業界がボーナス支給を通じて従業員の待遇改善を進めていることが分かる。特に、私立学校や学習塾では、業績に応じたボーナスの増額が行われるケースが増えており、給与総額の増加につながっている。また、オンライン教育分野では、新たな収益モデルの確立に伴い、従業員の報酬体系が改善される動きが見られる。

他業界と比較すると、教育・学習支援業の給与水準は中程度の水準に位置している。例えば、鉱業・採石業(411,892円)、製造業(412,916円)、不動産・物品賃貸業(420,219円)と比較すると、教育・学習支援業の400,238円はやや低めの水準であるが、飲食サービス業等(140,437円)と比べると高く、業界全体の給与水準は安定しているといえる。特に、ボーナスの増加率が高い点は、教育業界における待遇改善が進んでいることを示しており、今後の賃金改善の動向が注目される。

採用担当者にとって重要なのは、この給与水準が人材確保にどのような影響を与えるかである。教育・学習支援業界は、教員や講師の確保が大きな課題となっており、特に若手教員や専門知識を持つ講師の採用が求められている。そのため、企業は給与面での競争力を高めることに加え、福利厚生の充実や労働環境の改善を進めることが求められる。特に、労働時間の短縮やキャリアアップ制度の導入などが、人材確保において重要なポイントとなる。

また、今後の課題として、労働時間の適正化とワークライフバランスの向上が挙げられる。教育業界は、授業準備や課外活動、事務作業などが多く、長時間労働が発生しやすい業界である。しかし、近年では政府の「働き方改革」や労働基準の厳格化により、労働時間の短縮が求められる中、給与総額の維持が大きな課題となる。採用活動においては、給与の高さだけでなく、労働時間の適正化や職場環境の改善を打ち出すことが、求職者にとって魅力的な要素となる。

今後の展望として、教育・学習支援業界はデジタル教育の普及や少子化の影響を受け、大きな変革期を迎えている。特に、オンライン教育やAIを活用した学習支援ツールの普及が進むことで、教育業界の雇用環境が変化すると予測される。企業は、給与水準の維持・向上に加え、デジタル技術を活用した教育手法の導入を進めることで、競争力を高めることができる。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ