2024年10月1日
労務・人事ニュース
新基準施行でヘッドライトの安全性が向上!自動車オートレベリング機能の義務化が拡大
自動車のヘッドライトのオートレベリングの装備を拡大します! ~道路運送車両の保安基準の細目を定める告示等の一部改正について~(国交省)
2024年9月20日、国土交通省は自動車のヘッドライトに関する安全基準を強化する改正を発表しました。この改正は、自動車のヘッドライトのオートレベリング機能の装備を拡大するもので、特に光源の輝度に関わらず、すべての対象車両に対してこの機能が必要となります。このオートレベリングは、自動式で前照灯の照射方向を調整する装置で、これまでは主に光源が2,000ルーメンを超える高輝度のヘッドライトを持つ自動車に義務付けられていましたが、国際的な合意により、今後はより広範な車両に装備が求められます。
オートレベリングは、車両が後部座席に乗員を乗せたり、荷物を積載している場合に、車両後部が下がることに伴いヘッドライトの光軸が上を向いてしまう現象を防ぐために重要です。車両に搭載されたセンサーが車両の傾きを検知し、自動的にヘッドライトの照射方向を適切な角度へ補正します。この機能は、特に対向車のドライバー、特に高齢者ドライバーに対する眩しさを減らす効果があります。
この改正により、乗車定員が10人以下の乗用車などについては、2027年9月1日から新型車に対して適用され、継続生産車に対しては2030年9月1日から適用されます。また、車両総重量が3.5トンを超える貨物車や、乗車定員が11人以上の乗用車については、2028年9月1日から新型車に適用され、継続生産車については2031年9月1日から義務化されます。
オートレベリングの機能は2006年から一部の車両に義務付けられていましたが、それでもヘッドライトの眩しさによって周囲の車両の発見が遅れ、事故につながったケースが過去10年間(2012年~2021年)で300件以上報告されています。これらの事故を防ぐため、国際的な議論を経て、このたび基準が改正されることになりました。
この改正は、国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)において、オートレベリング装置に関する基準改正が合意されたことを受けて行われるもので、日本国内においてもこれに対応した法改正が行われます。この法改正は、道路運送車両の保安基準を定める細目告示などに反映され、自動車の安全性を一層高めることが目的です。
自動車のヘッドライトの眩しさは、特に夜間の視認性に影響を及ぼす要因であり、対向車や前方の歩行者、自転車などを見逃すリスクが高まります。特に高齢ドライバーにとって、強いヘッドライトの光は一時的な視力低下を引き起こし、事故の原因となることが懸念されています。これに対処するため、ヘッドライトの照射方向を自動で調整するオートレベリング装置の拡大が国際的に推進されてきました。
今回の改正により、二輪自動車や小型特殊自動車などの一部の車両は適用対象外となりますが、それ以外のほとんどの自動車に対してはこの新しい基準が適用されることになります。これは、交通事故を減らし、道路交通の安全性を向上させるための重要な施策と位置付けられています。
また、今回の改正は、日本国内のみならず、他国との基準調和を目的とした国際的な取り組みの一環でもあります。日本はこれまでも自動車の安全基準において世界をリードしてきましたが、今後はさらなる国際協力の下で、自動車の安全性や環境性能の向上を目指していく方針です。特に、EV(電気自動車)や自動運転車など、次世代のモビリティにも対応した安全基準の策定が求められており、今回のオートレベリング装置の拡大はその一部と言えます。
これらの改正により、車両メーカーやサプライヤーは、新しい基準に対応した車両設計や製品開発が求められることになります。特に、ヘッドライトの制御システムやセンサー技術の開発が加速することが予想され、国内外の自動車産業においても大きな影響を与えるでしょう。
今回の発表に関連して、物流・自動車局の車両基準・国際課および審査・リコール課が問い合わせ窓口を設けており、詳細な技術的な質問や相談を受け付けています。新基準の施行日は2024年9月22日とされていますが、各企業はこれに先立ち、早めの対応が求められます。特に、大型車や商用車を扱う企業にとっては、この改正が物流や輸送効率にも影響を及ぼす可能性があるため、迅速な準備が重要です。
企業の採用担当者にとって、このような法改正に対応する技術者やエンジニアの採用はますます重要となります。特に、車両制御システムやセンサー技術に精通した人材の確保は、自動車産業の競争力を維持・向上させる上で欠かせない要素となるでしょう。自動車メーカーだけでなく、関連するサプライヤーや技術開発企業にとっても、この改正を契機に新たなビジネスチャンスが生まれる可能性があります。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ