2024年12月27日
労務・人事ニュース
旅行業界が前年比22%増!2024年10月の最新取扱状況を徹底分析
主要旅行業者の旅行取扱状況速報(2024年(令和6年)10月分)(観光庁)
令和6年12月13日、観光庁より発表された2024年10月分の主要旅行業者の旅行取扱状況速報では、旅行業界が引き続き新型コロナウイルスの影響から回復基調にあることが明らかになりました。ただし、コロナ以前の2019年と比較すると、依然として完全な回復には至っていない状況も浮き彫りとなっています。以下に、海外旅行、外国人旅行(インバウンド)、国内旅行のそれぞれの状況を詳細に解説します。
まず、海外旅行の取扱額は2023年同月比で約122%と好調な伸びを示しました。2024年10月の総取扱額は約1,198億円となり、前年より大幅な増加が見られましたが、2019年同月比では約69%にとどまっています。この背景には、新型コロナウイルスによる渡航規制がほぼ解除されたことで、需要が急増している一方で、航空便の不足や旅行コストの上昇が影響していると考えられます。特に取扱人数では、前年同月比で116.3%と増加しており、多くの人が海外旅行に戻っていることがわかります。
一方、外国人旅行(インバウンド)は、2023年同月比で約99%とほぼ横ばいで、2019年同月比では約85%でした。2024年10月の総取扱額は約248億円であり、観光庁が推進する外国人観光客誘致施策が一定の成果を上げていることが窺えます。ただし、外国人観光客の戻りは地域差が大きく、都市部では回復基調にあるものの、地方への誘客にはまだ課題が残る状況です。さらに取扱人数では、前年同月比113.9%、2019年同月比では28.7%と、特に人数ベースでの回復が遅れている点が特徴的です。
国内旅行の取扱額は、2023年同月比で約101%と前年を若干上回り、2024年10月の総取扱額は約2,253億円に達しました。しかしながら、2019年同月比では約92%であり、パンデミック以前の水準には達していません。特に取扱人数では、前年同月比92.8%と減少しており、国内旅行需要がまだ完全には回復していないことを示しています。この原因としては、物価高騰や旅行費用の増加、働き方改革による旅行パターンの変化が考えられます。
各主要旅行業者のデータを見ると、企業ごとに回復度合いが異なることがわかります。例えば、JTB(7社計)は、2023年同月比で取扱額123.1%、2019年同月比で57.6%となっており、国内外ともに安定した需要回復を示しています。エイチ・アイ・エス(6社計)では、2023年同月比111.1%と増加していますが、2019年同月比では74.3%にとどまり、完全回復には課題が残っています。また、阪急交通社(2社計)は、前年同月比で150.4%と大幅な伸びを見せていますが、2019年比では71.0%にとどまっており、他の業者と同様の傾向が見られます。
全体的に、旅行業界は着実に回復しつつあるものの、パンデミック前の状況に戻るには時間がかかることが予想されます。さらに、地域ごとの需要格差や、海外旅行需要の高まりに対応する航空便の確保など、解決すべき課題も多く残されています。
以上の結果から、企業の採用担当者にとっては、観光業界における回復傾向を活用したマーケティングや人材戦略の策定が重要となります。特に、外国人旅行や国内旅行の回復に向けた施策において、地域特化型のサービスや新たな観光資源の開発が鍵となるでしょう。
⇒ 詳しくは観光庁のWEBサイトへ