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2024年9月22日

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既存住宅市場の成長が加速、2024年には中古住宅取引が全体の3割に達する見込み

令和6年度経済財政白書 第3章 ストックの力で豊かさを感じられる経済社会へ 第2節 住宅ストックの展望と課題(内閣府)

既存住宅市場の拡大が今後の住宅供給において重要な役割を果たすことが強調されています。日本では、長らく新築住宅が重視されてきましたが、近年では既存住宅の流通促進が政策的に奨励されています。特に、2024年7月1日から、物件価格が800万円以下の低廉な空き家等の流通を促進するため、宅地建物取引業者が受け取れる報酬に上限を設ける措置が見直されます。この動きは、価格の低い物件においても流通が円滑に進むようにするための取り組みとして注目されています。

また、住宅市場におけるインスペクション(建物調査)制度の導入とその推進についても詳細が述べられています。この制度は、売主・買主双方が取引において安心できる環境を整備するために重要であり、インスペクションの利用を促進するために関連法令の改正が行われました。2024年4月から、共同住宅に関する重要事項説明の際には、調査結果が2年以内であることが求められるようになるほか、標準媒介契約約款にも変更が加えられました。このような施策は、取引の透明性を高めるために不可欠であり、今後もさらに制度の見直しが進められることが期待されています。

さらに、住宅のリフォーム市場についても重要な議論が行われています。特に、日本では既存住宅のリフォームによる質的向上が、住宅市場の活性化につながるとされています。リフォーム市場は2000年代後半から増加傾向にあり、2022年にはさらに拡大しました。しかし、リフォームに関しては、見積もりの不透明さや費用が予定より高くなることへの不安が一部の消費者に見られるため、費用面での改善が求められています。国土交通省の調査によると、リフォーム検討者の約3割が費用面での不安を感じており、こうした不安を軽減するための対策が求められています。

日本の住宅ストックに関しては、1960年代以降、住宅戸数が世帯数を上回る形で増加しており、現在は人口減少が進む中で新設住宅着工数は減少傾向にあります。2023年の時点で新設住宅着工数は年間約82万戸で、ピーク時の約40%にまで減少しました。一方で、既存住宅の取引量は増加しており、2024年には中古住宅の購入割合が3割弱に達する見込みです。これは、年率換算で約20万戸の中古住宅が取引されることを意味し、今後も既存住宅市場が拡大していくと予想されています。

また、既存住宅市場においては、中古住宅の購入が年収層によって異なる傾向が見られます。フラット35利用者調査によると、年収300万円以下や1,000万円以上の層で中古住宅の購入割合が高くなっており、年収600万円から1,000万円の層でも購入割合が増加しています。特に過去10年間で、これまで中古住宅の購入に消極的だった年収層が積極的に購入を進めるようになったことが顕著です。

新築住宅と中古住宅の価格差(いわゆる「新築プレミアム」)も注目すべきポイントです。2013年時点では、新築住宅とその直後の中古住宅の価格差は約5%ありましたが、近年ではこの差がほとんどなくなり、一部の地域では中古住宅の方が新築よりも高値で取引される逆転現象も見られるようになりました。この傾向は特に東京圏や大阪圏で顕著であり、今後もこの動向が続くことが予測されます。

不動産業界における取引の透明性向上も重要なテーマです。日本では、宅地建物取引業法により仲介手数料に一定の制限が設けられているものの、売主と買主の双方を同時に仲介する「両手仲介」に関する規制はありません。これに対して、アメリカでは州法や業界団体の規制により、両手仲介に一定の制約が設けられており、取引の透明性が確保されています。日本でも、消費者保護の観点から取引制度の見直しが必要とされており、業界団体によるコンプライアンス遵守の徹底が求められています。

今後、既存住宅市場をさらに活性化するためには、住宅リフォームの促進や取引の透明性を高める施策が不可欠です。また、既存住宅市場の成長に伴い、業界全体で透明性の高い取引を実現し、消費者が安心して取引できる環境を整えることが重要です。

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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