2024年9月27日
労務・人事ニュース
日向灘で発生したマグニチュード7.1の地震が引き起こした津波と地殻変動、今後30年以内に26%以上の確率で再発する可能性
2024年8月8日 日向灘の地震の評価(令和6年9月10日公表)(地震本部)
2024年8月8日、日向灘で発生したマグニチュード7.1の地震についての詳細な報告をお伝えします。この地震は、同日の16時42分に深さ31kmで発生し、宮崎県日南市では最大震度6弱を記録しました。被害は広範囲にわたり、東海地方から奄美群島にかけて震度1から5強までが観測されました。特に宮崎県南部山沿いでは、長周期地震動階級3が確認され、九州地方や鳥取県でも長周期地震動階級2から1が観測されています。
この地震により、負傷者16人、住家被害は79棟に及び、深刻な影響を与えました。地震直後の津波も報告されており、宮崎県の宮崎港で51cm、日南市油津では40cmの津波が観測され、千葉県から鹿児島県にかけて津波の被害が確認されました。これを受け、気象庁は地震発生直後に津波注意報を発表し、警戒態勢が取られました。高知県、愛媛県、大分県、宮崎県、鹿児島県などで津波の影響が広がり、津波注意報が解除されたのは同日の19時から22時にかけてでした。
この地震は、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した逆断層型のものであり、西北西-東南東方向に圧力軸を持っていました。この領域は以前から地震活動が活発な場所であり、1996年にもマグニチュード6.9と6.7の地震が発生し、津波による被害が発生しています。特に1996年10月に発生した地震では、高知県や宮崎県、鹿児島県で津波が観測されました。
地震直後から余震活動が続いており、地震発生から9月10日までに28回の震度1以上の地震が記録されています。これには震度6弱の地震が1回、震度5強が数回含まれており、余震活動の範囲は震源を含む東西約80km、南北約80kmに及んでいます。また、地震後の最大余震は8月9日に発生したマグニチュード5.4の地震です。
地殻変動も広範囲で確認されており、宮崎県南部では水平変位や沈降が観測されました。GNSS観測によると、宮崎観測点では東南東方向に14cmの変動が見られ、また「だいち2号」によるSAR干渉解析でも地殻変動が確認されています。さらに、地震後の余効変動として、宮崎県の北郷観測点では東方向に約2cmの水平変動が記録されており、この地殻変動はプレート間のすべりが原因とされています。
気象庁では、この地震が南海トラフ地震と関連する可能性についても評価を行いました。地震直後に南海トラフ沿いでの大規模地震の発生可能性が高まっていることから、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されました。これにより、南海トラフ地震への警戒が高まり、引き続き注意が必要とされています。
この地震の解析結果から、震源断層は北北東-南南西方向に延びる長さ約20kmの西北西傾斜の逆断層であると推定されています。地震の規模や発震機構から判断すると、日向灘ではマグニチュード7.0から7.5程度の地震が今後も発生する可能性が高いとされています。長期的な地震活動の評価によると、30年以内にこの規模の地震が発生する確率は26%以上とされています。
過去の記録では、1931年と1961年にも日向灘でマグニチュード7.0以上の地震が発生しており、歴史的にもこの地域では大規模地震が繰り返し発生しています。また、1662年にはマグニチュード8.0程度の巨大地震が発生した可能性が指摘されており、今後も警戒が必要です。
宮崎地方気象台と鹿児島地方気象台では、気象庁の機動調査班が派遣され、震度5強以上を観測した地域の現地調査が行われました。震度観測点やその周辺の被害状況を詳細に確認し、今後の防災対策に役立てられる情報が収集されています。
地震の影響は、津波や地殻変動だけでなく、社会やインフラにも広範囲に及びました。交通機関の停止や道路の損壊など、生活インフラへの影響も報告されています。また、地震に伴う地滑りや土砂崩れの危険性も指摘されており、災害復旧には時間がかかると見込まれています。地域住民の安全確保のため、引き続き警戒と対策が必要です。
日向灘地域では今後も地震活動が続く可能性が高く、住民や関係機関は警戒を続ける必要があります。特に津波の発生や地殻変動による被害に対する備えが重要です。防災意識を高め、地域社会全体で地震に対する対応を強化していくことが求められます。
⇒ 詳しくは地震本部のWEBサイトへ