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2024年4月16日

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日本の労働市場における仕事の質の新たな分析 就業形態を超えた多様性とは?

「仕事の質」からみる働き方の多様性(JILPT)

2024年4月4日、OECDのJob Quality Frameworkに基づく最新の研究が公表され、日本の労働市場における「仕事の質」に関する新たな知見が明らかにされました。

この研究は、特に35~54歳の男女を対象としたJILPTのパネル調査データを用いて、就業形態が仕事の質にどのような影響を与えるかを探求しています。研究の結果、仕事の質は賃金、雇用の安定性、労働環境という三つの側面から構成されていることが示されました。

分析によると、正規雇用と非正規雇用との間には「仕事の負荷」に大きな違いは見られなかったものの、「収入の質」には明確な差が存在します。

このことは、就業形態による多様性よりもむしろ職業間の序列化が進んでいることを示唆しています。また、多くの労働者が就業形態に関係なく、過剰な「仕事の要求」と不十分な「仕事のリソース」に直面しているという課題が浮き彫りになりました。

クラスター分析を通じて、労働市場には仕事の質の観点から見た異質なグループが存在することが確認されました。賃金や雇用が安定しているグループもあれば、そうでないにも関わらず仕事の負荷が高いグループもあり、これらのグループには様々な就業形態の人々が存在しています。

さらに、仕事の負荷という観点から「仕事の要求」と「仕事のリソース」に焦点を当てたところ、これらが健康や主観的なウェルビーイングに与える影響が明らかになりました。十分な「仕事のリソース」がある場合、労働者の健康やエンゲージメントが向上し、高い「仕事の要求」があってもアウトカムが悪化しにくいことが判明しました。

総じて、この研究は、日本の労働市場における「仕事の質」の現状を詳細に解析し、特に「仕事のリソース」を充実させることの重要性を強調しています。これは、従来の長時間労働を短縮するなどの「仕事の要求」を軽減するアプローチとは異なり、より包括的で持続可能な労働環境の改善につながる示唆を提供しています。

⇒ 詳しくは独立行政法人労働政策研究・研修機構のWEBサイトへ