2025年1月26日
労務・人事ニュース
日本の水資源、年間1700ミリの降水量と利用可能資源量の現状に迫る
「令和6年版 日本の水資源の現況」を公表 ~水資源の現状及び取組状況についてとりまとめました~(国交省)
国土交通省は、日本における水資源の現状やその管理に関する最新の取り組みを包括的にまとめた「令和6年版 日本の水資源の現況」を発表しました。この報告書は、全国の水需給や利用状況、水資源の適正利用のための施策、水資源に関連する災害や国際的な取り組みなど、多岐にわたる内容を網羅しており、関係府省庁との連携のもと、毎年更新されています。本年の報告書では、日本国内での水資源の現況とともに、地球環境問題や国際的な課題に対応するための活動が特に注目されています。
まず、日本の水資源の特徴的な側面として、水の循環と賦存状況が挙げられます。日本は年間約1700ミリの降水量を有し、世界平均の約2倍にあたる恵まれた気候条件下にあります。しかし、その大部分は急勾配の地形を流れることで海に放出され、利用可能な水資源量は相対的に限られています。このため、水資源の効率的な管理と利用が求められています。特に農業用水や工業用水、都市部の生活用水の利用状況については、人口密度が高い地域での需要増加が課題として浮上しています。
また、水資源の有効利用のためには、地下水の適切な保全が不可欠です。地下水は日本全国の生活用水の約25%を支える重要な資源ですが、過剰な取水や地盤沈下といった問題が指摘されています。これに対応するため、地下水利用に関する適切な規制や管理が進められています。同時に、地球環境問題への対応として、水資源の利用に伴うエネルギー消費の削減も喫緊の課題とされています。水処理施設の効率化や再生可能エネルギーの活用がその一環として推進されています。
一方で、渇水や水害、災害といったリスクへの対応も重要です。近年、気候変動の影響により異常気象が増加し、水資源の安定供給が危ぶまれる状況に直面しています。例えば、2022年度には全国で40件以上の渇水が報告され、地域社会や産業活動に深刻な影響を及ぼしました。これに対し、国土交通省は水資源関連施設の維持管理や渇水時の緊急対応マニュアルの改定を実施し、さらなるリスク軽減策を講じています。
さらに、国内外での水資源に関する連携の強化が求められています。国内では、省庁間の協力を通じて水源地域対策を進め、地域活性化のためのソフト施策を展開しています。一方、国際的には、持続可能な水資源管理に向けた技術協力や国際会議への参加を通じて、世界各国と課題を共有しています。2024年度には、世界水フォーラムでの日本の主導的な役割が期待されています。
こうした中、一般国民や関係者の間で水資源に対する意識を高める取り組みも進められています。毎年8月1日から7日にかけて実施される「水の週間」では、安全でおいしい水をテーマにした行事が全国で展開され、多くの市民が参加しています。また、教育現場や企業においても水資源の重要性が啓発されており、持続可能な社会の実現に向けた一助となっています。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ