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2024年4月18日

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日本の経済格差の深層 世代を超えた財政の不平等と若い世代の経済的困難への洞察

日本の出生コホート間の経済格差 ―「国民生活基礎調査」を用いた考察―(JILPT)

日本では、世代によって経済状況が異なり、特に若い世代が経済的な困難に直面していることが指摘されています。この現象を理解するため、1986年から2019年までの「国民生活基礎調査」データを基に分析が行われました。

ここで見つかった事実は、多くの日本人が自分たちの将来が親世代よりも経済的に良くないと考えていることを示しています。具体的には、親世代と比べて、1950年代から1980年代に生まれた人々の所得と消費水準が低く、特に1970年代と1980年代生まれの所得と消費が顕著に低いことが明らかになりました。

分析では、統計的手法を用いて様々な要因を考慮し、具体的にどの世代がどれだけ経済的に不利な状況にあるかを調べました。その結果、1940年代生まれと比較して、後の世代は所得が減少し、貯蓄が少なく、借入金が多いことが分かりました。例えば、1970年代生まれでは、所得が5.3%、消費が5.5%低下していることが確認されました。さらに、1980年代生まれでは、所得が7.3%、消費が5.2%減少しています。

貯蓄に関しては、若い世代ほど貯蓄を持たない確率が高く、貯蓄額も少ないことが明らかになりました。一方で、借入金の面では、若い世代の方が多額の借入れをしている状況が見られました。

この状況を改善するためには、世代間での経済的な支え合いを促進し、特に若い世代の経済状況を向上させる必要があります。政策提案としては、全世代が社会保険料を分担する「全世代型社会保障」の推進や、同じ仕事をする人が同じ給料をもらえる「同一労働同一賃金」の原則に基づく非正規雇用者の待遇改善が挙げられます。これらの措置は、経済的な格差を減らし、より公平な社会を実現するために重要です。

この分析は、日本の貧困問題や経済格差を理解し、改善策を考えるための基礎資料として役立ちます。社会全体で世代間の経済的支え合いを促進し、特に若い世代が直面する経済的困難を解決することが、これからの日本にとって重要な課題です。

⇒ 詳しくは独立行政法人労働政策研究・研修機構のWEBサイトへ