2024年8月11日
労務・人事ニュース
日本の自動車市場、5年ぶりの増加に転じるもコロナ前水準には届かず
「主要国の自動車生産・販売動向2023年版」を公開 ―需要回復や半導体不足の解消により、コロナ禍前の水準に回復―(JETRO)
2023年の自動車生産・販売動向をまとめたレポートがジェトロから発表されました。このレポートでは、世界36カ国・地域の自動車市場における生産および販売の状況を分析し、特に需要回復やサプライチェーン問題の解消がどのように業界に影響を与えたかが詳述されています。
国際自動車工業連合会(OICA)のデータによると、2023年の世界全体での新車登録・販売台数は前年に比べて11.9%増加し、9,272万台に達しました。また、自動車生産台数も10.3%増の9,355万台となり、新型コロナウイルスの影響で減少していた生産と販売が2019年の水準を超えて回復しました。これらの増加は、コロナ禍の収束による消費者の需要回復や、半導体不足をはじめとする供給チェーンの問題が解消されたことが主な要因とされています。
国別に見ると、中国と米国が販売台数の1位、2位を維持し、3位には日本を抜いて2022年に続きインドが位置しました。日本は4位ですが、2023年には前年に比べて大きな伸びを見せました。生産台数では中国がトップ、次いで米国、日本、インド、韓国という順位で、このランキングには過去3年間で大きな変動はありませんでした。
日本の自動車市場においては、2023年の販売台数が13.8%増の478万台となり、5年ぶりに増加に転じました。しかし、2019年の519万台には依然として届かず、新型コロナ禍前の水準にはまだ戻っていない状況です。一方、生産台数は14.8%増の900万台と2桁の成長を記録しましたが、輸出台数や海外生産台数はいずれも2019年の水準に達していません。
さらに、多くの国・地域でバッテリー式電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などを含む電気自動車(EV)の生産と販売が伸びています。この背景には、脱炭素化への取り組みの強化や、各国政府によるEV推進政策が大きな影響を与えています。しかし、依然としてEVの販売価格が高いことや、充電インフラの整備が進んでいないことが普及の障害となっています。
このように、2023年は世界的に自動車業界が回復基調にあることが明らかになりましたが、依然として課題が残っており、特にEVの普及に向けたさらなる取り組みが求められる状況が続いています。
⇒ 詳しくは独立行政法人日本貿易振興機構のWEBサイトへ