2024年9月16日
労務・人事ニュース
日本の高齢者人口は約3,600万人に!介護業界の需要が拡大
令和4年度 介護保険事業状況報告(年報)(厚労省)
令和4年度末時点における介護保険制度の現状について報告します。全国の第1号被保険者数は3,585万人で、そのうち後期高齢者(75歳以上)が1,949万人を占めています。このデータは、前年度と比較して後期高齢者が増加傾向にあることを示しており、全体で75.1万人(4.0%)増加しました。一方で、前期高齢者(65歳以上75歳未満)は減少しており、79.3万人(4.6%)減少しています。このように、高齢者の中でも特に後期高齢者の割合が増えていることが顕著です。
また、要介護(要支援)認定者数も増加しています。令和4年度末の認定者数は694万人に達し、そのうち軽度の要支援1~要介護2の認定者が全体の65.5%を占めています。特に、85歳以上の高齢者の増加が目立ち、認定者数は前年度末と比較して0.7%増加しました。
地域別の認定者率に関しては、大阪府や京都府、和歌山県などで高く、一方で茨城県や栃木県、山梨県などでは低くなっています。全国平均での認定率は19.0%であり、地域間の差が見られます。このデータは、各地域における高齢者ケアの需要と供給のバランスを示しており、今後の政策立案において重要な指標となるでしょう。
居宅介護サービスの受給者数についても触れます。令和4年度の累計受給者数は4,959万人に達し、そのうち69.4%が第1号被保険者です。特に要介護1の受給者数が最も多く、全体の26.6%を占めています。また、要支援1から要介護2までの軽度の受給者が約56.4%を占めており、この層のケアニーズが高いことがうかがえます。
地域密着型サービスの受給者数も増加傾向にあり、令和4年度累計で1,081万人が利用しました。特に、要介護1の受給者数が最も多く、全体の29.6%を占めています。また、軽度の要支援1~要介護2の受給者が56.4%を占めており、地域に根差したケアの重要性が示されています。
施設介護サービスの受給者数も増加しています。令和4年度累計で総数1,146万人が利用し、特に要介護4の受給者数が最も多く、全体の36.1%を占めています。また、重度の要介護4~要介護5の受給者が約61.7%を占めており、重度化した高齢者のケアが重要な課題となっています。
介護保険給付費の総額は、令和4年度累計で11兆1,354億円に達し、そのうち利用者負担を除いた給付費は9兆9,670億円となっています。居宅サービスが最も多くの給付費を占めており、全体の50.6%を占めています。一方で、地域密着型サービスは17.2%、施設サービスは32.1%の割合を占めています。
都道府県別に見ると、居宅サービスの給付費割合が高い地域として、大阪府や兵庫県が挙げられます。これらの地域では、在宅での介護がより重視されていることが示唆されます。反対に、施設サービスの給付費割合が高い地域としては、福井県や石川県が挙げられ、施設での介護が主要な役割を果たしていることがわかります。
令和4年度の介護保険特別会計の経理状況では、歳入合計が11兆9,988億円、歳出合計が11兆5,935億円となり、差引残額は4,054億円でした。この中には、国庫支出金や都道府県支出金、保険料収入が含まれており、これらの資金が介護保険事業の運営に充てられています。また、令和4年度末時点での介護給付費準備基金の保有額は10,199億円に達しており、今後の介護ニーズの増加に対応するための備えがされています。
さらに、保険料の収納率も非常に高く、全国平均で99.3%となっています。特に特別徴収の収納率は100.0%であり、安定的な資金調達が実現されています。
以上のデータからもわかるように、日本の高齢化は今後も進行し続けることが予想されます。それに伴い、介護保険制度の役割はますます重要になり、より効率的で持続可能な制度運営が求められています。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ