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2024年12月23日

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日本主導の国際規格ISO31512発行で加速するコールドチェーン物流市場、アジア諸国への展開が期待

企業間取引におけるコールドチェーン物流サービスに関する日本提案の国際規格が発行されました ~日本式コールドチェーン物流の海外展開を目指して(ISO31512)~(国交省)

令和6年12月11日、国際標準化機構(ISO)において、日本が主導した企業間取引におけるコールドチェーン物流サービスに関する国際規格(ISO31512)が正式に発行されました。この規格の制定は、特にアジア諸国を中心とした世界各国での日本式物流サービスの普及を目指した取り組みの一環として行われました。この規格が普及することで、日本の物流業界が世界市場で競争力を高め、関連する農林水産物や食品の輸出拡大にも大きく貢献することが期待されています。

近年、アジア諸国では急速な経済成長と所得向上により食生活が多様化し、冷蔵・冷凍食品の国内流通量が大幅に増加しています。しかし、これに対応するためのコールドチェーン物流、つまり温度管理が必要な低温輸送や低温保管サービスの整備が十分に進んでいない国も多くあります。これを背景に、日本では令和3年6月に「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」を閣議決定し、高品質な日本式コールドチェーン物流の国際標準化を進めてきました。この取り組みは、アジアの急増する物流需要を取り込み、日本の物流事業者が海外市場での競争力を確保するための戦略的な措置と位置づけられています。

具体的には、日本は平成28年以降、国土交通省を事務局とした「我が国物流システムの国際標準化等の推進に関する連絡検討会」を設置し、物流事業者、業界団体、関連省庁が協力して標準化の検討を進めてきました。このオールジャパン体制の取り組みに加え、アジア諸国との物流政策対話やワークショップを通じて、各国の物流関連省庁や標準化機関との連携も強化されました。この結果として、令和2年には小口保冷配送サービスに関するISO23412、さらに日本式企業間コールドチェーン物流サービスの民間規格JSA-S1004が発行されています。

今回発行されたISO31512は、これらの成果を踏まえたもので、企業間取引におけるコールドチェーン物流サービスの標準化に特化しています。この規格の中では、運送業者や倉庫業者が適切な温度管理を実現するための要件やガイドラインが詳しく定められています。このような規格が策定された背景には、温度管理が不十分な物流が原因で食品や医薬品の品質が損なわれるリスクがあることが指摘されており、品質保持の重要性が高まっているという事情があります。

日本が議長国として主導したISOでの議論により、今回の国際規格発行が全会一致で可決され、令和6年12月6日に正式発行されました。これにより、日本式の高品質なコールドチェーン物流が、世界の多様な市場において信頼性の高い標準として受け入れられる基盤が整ったことになります。

この国際規格の普及により、以下のような具体的な効果が期待されています。まず、日本の物流事業者が提供するサービスの品質が国際的に認められ、競争力が強化されることです。また、これに伴い日本の農林水産物や食品の輸出が増加し、さらにアジア諸国などでの健全なコールドチェーン市場の育成にも寄与します。これらの取り組みは、地域経済の発展や食品の安全性向上にもつながるため、多方面での社会的な利益をもたらします。

国土交通省は、このISO31512を含む日本式コールドチェーン物流に関する国際標準の普及を一層推進するため、引き続きオールジャパン体制での取り組みを進めるとしています。今後も、国際社会との連携を深めながら、具体的な普及策や市場ニーズに応じたサービスの展開が進められることが期待されます。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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