2025年3月6日
労務・人事ニュース
日本人の83.1%が死刑もやむを得ない!最新世論調査の詳細分析
基本的法制度に関する世論調査(令和6年10月調査)(内閣府)
この世論調査は、内閣府政府広報室によって実施され、日本全国の18歳以上の日本国籍を持つ3,000人を対象に行われました。調査の主な目的は、基本的な法制度に対する国民の意識を把握し、今後の施策の参考とすることにあります。有効回答数は1,815人で、有効回収率は60.5%でした。調査方法は郵送法を採用し、令和6年10月24日から12月1日までの期間に実施されました。
調査の主要な項目の一つとして、国民の裁判制度に対する関心が挙げられます。具体的には、裁判所の見学や裁判の傍聴経験について尋ねられました。その結果、裁判所を見学または裁判を傍聴したことが「ある」と回答した人は全体の12.3%にとどまり、「ない」と答えた人が87.0%を占めました。この結果は、裁判制度に対する一般市民の関心が高くないことを示唆しており、法教育の強化や裁判所の公開制度の改善が求められる可能性を示しています。
もう一つの重要なテーマは死刑制度に関する意識調査でした。死刑制度の存廃についての質問では、「死刑は廃止すべきである」と答えた人が16.5%、「死刑もやむを得ない」と答えた人が83.1%という結果になりました。これは、依然として日本では死刑存置派が圧倒的多数を占めていることを示しています。
死刑を廃止すべきと考える理由として最も多く挙げられたのは、「裁判に誤りがあったとき、死刑にしてしまうと取り返しがつかない」(71.0%)というものでした。次いで、「生かしておいて罪の償いをさせた方がよい」(53.3%)、「国家であっても人を殺すことは許されない」(35.0%)、「人を殺すことは刑罰であっても人道に反し、野蛮である」(29.7%)などが挙げられました。また、「死刑を廃止しても、そのために凶悪な犯罪が増加するとは思わない」と答えた人は26.3%にとどまり、死刑廃止の影響については意見が分かれる結果となりました。
一方、死刑存続を支持する理由として最も多かったのは、「死刑を廃止すれば、被害を受けた人やその家族の気持ちがおさまらない」(62.2%)でした。次いで、「凶悪な犯罪は命をもって償うべきだ」(55.5%)、「死刑を廃止すれば、凶悪な犯罪が増える」(53.4%)、「凶悪な犯罪を犯す人は生かしておくと、また同じような犯罪を犯す危険がある」(48.6%)などが続きました。特に被害者遺族の感情や犯罪抑止の観点から死刑存置を支持する声が多いことが明らかになりました。
また、死刑の犯罪抑止力に関する質問では、「死刑がなくなると凶悪な犯罪が増える」と答えた人が71.2%、「増えない」と答えた人が27.7%でした。これも、死刑の抑止効果を信じる人が依然として多数派であることを示しています。
さらに、終身刑の導入と死刑存廃の関係についても尋ねられました。現在、日本には仮釈放のない「終身刑」は存在せず、最も重い刑罰は「無期懲役」となっています。調査では、「もし仮釈放のない終身刑が導入された場合、死刑を廃止すべきか」との質問に対し、「死刑を廃止する方がよい」と答えた人は37.5%、「死刑を廃止しない方がよい」と答えた人は61.8%となりました。この結果からも、終身刑の導入が必ずしも死刑廃止を支持する理由にはならないことが分かります。
将来的に死刑制度を存続すべきかについても質問がなされました。その結果、「将来も死刑を廃止しない方がよい」と答えた人が64.2%、「状況が変われば将来的には死刑を廃止してもよい」と答えた人が34.4%でした。この結果から、日本では現時点で死刑廃止に向かう機運が高まっているとは言えず、多くの人が現行制度の維持を望んでいることが伺えます。
全体として、この調査結果からは、日本国民の間で死刑制度に対する支持が依然として根強いことが明らかになりました。死刑の抑止効果や被害者遺族の感情が大きな影響を与えており、一方で冤罪のリスクや人道的観点から死刑廃止を求める声も一定数存在しています。今後、死刑制度のあり方について議論を深める上で、終身刑の導入や更なる法改正が必要かどうかについて慎重な検討が求められるでしょう。
⇒ 詳しくは内閣府 世論調査のWEBサイトへ