2024年11月22日
労務・人事ニュース
日本全国での水循環意識調査結果から読み取る、企業が注目すべき環境問題と水資源管理の課題
水循環に関する世論調査(令和6年7月調査)(内閣府)
「水とのかかわりのある豊かな暮らし」について、人々がどのように感じているかが問われました。最も高い関心が寄せられたのは、「安心して水が飲める暮らし」で86.9%がこれを理想としています。また、「おいしい水が飲める暮らし」も43.0%に上り、生活の質を向上させる要素として水の品質が重視されています。一方で、「いつでも水が豊富に使える暮らし」や「洪水の心配のない安全な暮らし」はそれぞれ50.8%、48.6%と、過去の調査に比べて低下が見られました。これは、昨今の異常気象や災害の影響で水資源への懸念が増している可能性があります。企業としては、こうした水資源の安全性に対する従業員の意識を理解し、福利厚生や社内環境の一環として水の提供方法や災害時の水供給対策を考慮することが重要です。
次に、「水道水の水源の認知度」に関する調査では、回答者の69.7%が自分の使用している水道水の水源について何らかの知識を持っていると答えていますが、具体的な名称まで知っているのは36.3%にとどまります。知らないと回答した割合は29.7%で、特に都市部ではこの傾向が強く、具体的な水源に対する認知度が低いことが示されています。この結果から、企業は社員に対して地域の水環境や水道水の水源についての教育を行うことで、環境に対する意識向上を図ることができます。環境への配慮が企業価値にもつながる昨今、水源に関する知識を深める機会を提供することは、持続可能な社会づくりに貢献する企業姿勢を示す手段となり得ます。
また、水道水の質に対する満足度も調査され、「全ての用途において満足している」と回答した人は58.3%でしたが、飲み水以外の用途で満足している人も38.2%に上り、特に飲用以外での水の利用に対する期待が示唆されます。企業内での給水設備や浄水器の導入など、オフィス内の水環境を整備することで、従業員の満足度や健康を向上させる施策が考えられます。特に飲用水の品質が従業員の健康に直接影響するため、職場環境改善の一環として取り組むべき課題といえるでしょう。
「地球環境の水問題」に関する懸念については、「気候の不安定化による洪水や土砂災害の頻発」が84.3%と最も多くの人々に心配されており、次いで「降水量の変化や水温の上昇による自然環境や生態系への影響」が67.0%と続きます。このように、気候変動に伴う水問題への関心が高まっており、企業も社員に対し、環境問題や水資源保護に関する啓発を強化する必要があります。また、社内のサステナビリティ施策として、水資源の再利用や節水活動を推進することで、社員の意識向上や企業イメージの向上が期待できます。さらに、「渇水の増大による水不足及び海外での食料生産の不安定化」も56.3%の人が心配しており、これに対して企業はサプライチェーンにおける水資源の利用や食品調達の安定性に対するリスク管理を検討することが求められます。
企業が行政に求める取り組みとしては、「洪水・土砂災害防止施設の整備」が71.3%で最も要望されており、「老朽化や災害による被害を受けた上下水道の整備」が70.7%で続いています。これは、自然災害に対する備えとしてインフラ整備が強く求められていることを示しています。また、「水質汚濁防止のための下水道などの整備」や「雨水利用や水の再利用の促進」も重要視されており、環境への配慮や水資源の効率的な利用に関心が高まっていることがうかがえます。これらの結果から、企業は地域社会や行政との協力を通じて、環境保護活動や災害対策に積極的に関与することが求められます。地域貢献活動としての水資源保護プログラムや、災害時の水供給支援などを検討することで、地域社会の一員としての企業の役割が強化され、企業価値の向上にもつながるでしょう。
最後に、「水の日」と「水の週間」の認知度調査によると、「水の日」を知っている人は8.1%に過ぎず、全体の84.3%が「水の日」も「水の週間」も知らないと回答しています。これは、水に関する意識向上の取り組みがまだ十分に浸透していないことを示唆しています。企業としては、この機会を利用して社員への啓発活動を行い、環境や水資源保護の意識を高めることができます。例えば、8月1日の「水の日」や「水の週間」に合わせて、水に関する社内イベントやキャンペーンを実施し、水の大切さを再確認する機会を提供することが有益です。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ