労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 日本全国小規模事業者の10月売上が悪化、11月にさらに低下の兆し

2024年12月5日

労務・人事ニュース

日本全国小規模事業者の10月売上が悪化、11月にさらに低下の兆し

全国小企業月次動向調査(2024年10月実績、11月見通し)(日本公庫)

2024年10月に実施された全国小企業月次動向調査では、日本全国の小規模事業者における経済状況が詳細に分析されました。この調査には、取引先企業1,500社が対象となり、そのうち1,277社から回答が得られ、回答率は85.1%に達しました。本調査では売上、採算、価格動向の三つの主要指標が取り上げられており、最新の動向と将来の見通しが明らかにされています。

2024年10月の売上DI(Diffusion Index)は、9月の▲1.7からマイナス幅が4.0ポイント拡大し、▲5.7に落ち込みました。また、11月の見通しでは、さらに▲17.2へとマイナス幅が11.5ポイントも拡大する見通しです。業種別に見ると、製造業は▲0.1から▲4.8へ、非製造業は▲2.1から▲6.1へとそれぞれ大きく低下しました。さらに、11月の見通しでは、製造業が▲16.9、非製造業が▲17.4と、共に大幅な低下が予測されています。非製造業では特に卸売業、飲食業、建設業で低下が顕著であり、これらの業種は11月にさらに悪化すると見られます。

採算DIに関しては、2024年10月の値が▲3.5と、9月の▲4.2からわずかに改善しましたが、依然としてマイナスの範囲にとどまっています。一方、11月の見通しでは▲8.8と、再びマイナス幅が大きく拡大する予測が示されています。これにより、多くの企業が依然として収益面で苦境に立たされていることが浮き彫りになりました。

価格動向についても注目すべき動きがありました。10月の販売価格DIは、9月から3.3ポイント上昇し、16.5となりました。同様に、仕入価格DIも4.8ポイント上昇して37.8となり、原材料費やその他のコスト上昇が企業の価格戦略に大きく影響していることが伺えます。直近半年間で販売価格を「引き上げた」と回答した企業の割合は46.5%に達しており、今後の半年間で価格を「引き上げる」と回答した企業の割合はさらに増えて48.4%と予想されています。これらの値は、多くの企業がインフレ圧力に直面している現状を反映しています。

さらに、業種別に分析すると、製造業、非製造業ともに悪化が顕著ですが、特に非製造業に属する業種での苦境が目立っています。卸売業や飲食店などでは、収益改善のために価格改定を試みる企業も多い一方で、顧客離れを懸念し価格据え置きを選ぶ企業も存在します。このような価格戦略の選択肢は、企業が置かれている環境や競争状況によって大きく異なります。

本調査結果は、日本経済全体の中でも特に小規模事業者が直面している課題を浮き彫りにしており、政策決定者にとっても重要な指針となるでしょう。小規模事業者は日本経済の基盤を支える存在であるため、売上や採算の低迷に対して早急な支援策が求められています。特に、インフレ圧力や原材料費の高騰、顧客の購買意欲低下が中小企業の競争力を削いでいる現状において、金融支援や税制改革などの包括的な措置が必要です。

本報告書は、今後の経済政策や企業戦略の参考となる重要なデータを提供しています。特に、企業間の価格戦略や収益構造の変化を理解する上で貴重な資料となります。調査結果を基にした経済政策の実行が、中小企業の経済活動を支える基盤となることが期待されます。

⇒ 詳しくは日本政策金融公庫のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ