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2025年4月10日

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日本産ホタテのベトナム輸出額が106億円に急増、前年比13倍の拡大で協業加速へ

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「ベトナムにおけるホタテ加工の現状とベトナム水産加工事業者について」をウェブサイトで公開 ―ホタテ取扱意向を持つベトナム水産加工企業16社のヒアリング調査結果紹介―(JETRO)

2025年3月24日、日本貿易振興機構(ジェトロ)は、「ベトナムにおけるホタテ加工の現状とベトナム水産加工事業者について」と題した調査報告を公開しました。本報告は、ALPS処理水放出に伴う中国の日本産水産物に対する輸入禁止措置を受けて、日本政府が進める「水産業を守る政策パッケージ」の一環として実施された緊急対応の成果をまとめたものです。具体的には、日本からの輸出依存先を中国に偏らせないため、代替となる販路と加工拠点の確保を目的に、ベトナムの水産加工企業に焦点を当て、ヒアリング調査を実施しました。

調査対象となったのは、ベトナム国内のホタテ取扱いに関心を示す16社の水産加工企業であり、これらの企業に対しては、ホタテやその他の水産物の加工能力、取り扱い実績、輸入経験、さらには日本企業との協業に対する姿勢など、多角的な観点からの聞き取りが行われました。調査の実施には、ベトナム水産物輸出加工協会(VASEP)の全面的な協力があり、現地での企業リストアップから訪問調整、通訳支援に至るまで、現地に密着した調査活動が展開されました。

本報告書が発表された背景には、2023年8月に中国が日本産水産物の輸入を全面的に禁止したことによる市場変動があります。これにより、従来中国向けに輸出されていた日本産ホタテの販路が突如として断たれ、産地・業者は急速な対応を迫られました。その代替先として浮上したのが、東南アジア諸国の中でも水産加工インフラが整っており、輸出力にも長けたベトナムでした。

実際に、日本からベトナムへのホタテ輸出額は急増しており、2023年の年間輸出額はわずか8億円であったものが、2024年には106億円に達する見込みです。これは実に13倍以上の急伸であり、短期間での輸出増加としては極めて顕著な事例となります。四半期別に見ると、2024年1〜3月期は7.3億円、4〜6月期は25.5億円、7〜9月期には44.2億円、そして10〜12月期には29.2億円と、全体を通して右肩上がりの輸出実績を記録しています。これは、単なる一次的な代替先という位置付けではなく、今後もベトナムが日本産ホタテの加工・流通において重要な拠点として定着する可能性を示唆しています。

調査対象となったベトナム企業の多くは、これまでエビや白身魚などの加工を主軸としてきたものの、日本産ホタテの取り扱いにも関心を示しており、いくつかの企業では既に輸入や試験加工の実績があることも確認されました。また、日系企業とのビジネスに前向きな姿勢を示す企業も多く、品質管理や衛生管理、トレーサビリティ確保といった日本側の要件にも対応可能とする企業が複数存在していました。

このような情報は、日本国内で水産加工業や流通業に携わる企業にとって、代替加工地の選定や新たなパートナー探しにおいて貴重な判断材料となります。特に、外部委託加工や共同製造モデルの導入を検討する企業にとっては、現地の加工能力や輸送体制、契約条件の傾向などを具体的に把握できる資料として本報告の価値は非常に高いといえます。

一方で、ベトナムの水産加工業界全体には課題もあります。例えば、設備更新が進んでいない工場や、労働力確保に不安を抱える事業者も一定数存在しており、大量・高品質な受託加工には企業の選別と綿密な現地調査が不可欠です。また、輸出先国の規制対応や認証取得に対する準備状況にも差があり、日本企業としてはビジネスパートナー選定にあたって、技術面・法制度面の両方からの慎重な検討が求められます。

ジェトロでは、こうした課題に対応するため、日越間での連携促進を目的としたマッチング支援や現地視察のコーディネート、さらには契約交渉に関する法務支援など、ビジネスサポート体制を整えつつあります。日本企業にとっては、急増するホタテの代替加工ニーズに対応するためにも、このような支援制度を積極的に活用することが推奨されます。

こうした取り組みを通じて、日本産ホタテの持続的な輸出先としてベトナムが定着することは、日本の水産業全体の安定にもつながります。また、単なる原料の輸出先としてだけでなく、ベトナム企業との協業によって新たな商品開発や高付加価値化を進めることで、グローバルな市場展開への足がかりとすることも可能です。

⇒ 詳しくは独立行政法人日本貿易振興機構のWEBサイトへ

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