2024年8月27日
労務・人事ニュース
日本産水産物の輸出促進に向けたジェトロの戦略的取り組み ― 新興市場と非日系市場での商流構築を加速
水産業支援に関するジェトロの取り組み ―ピンチをチャンスに、明日の輸出のために―(JETRO)
2023年9月に設立されたジェトロの緊急対策本部は、日本の水産業を守り、海外市場への輸出を促進するための重要な役割を果たしています。これは、政府からの要請を受け、日本からの水産品や食品の輸出に影響を及ぼす事業環境の変化に迅速かつ組織的に対応するためのものです。この対策本部は、特にALPS処理水の放出に伴う輸出環境の変化に対応し、国内外での新たな販路開拓や、日本産食品のイメージアップを図るための取り組みを推進しています。
2024年8月、ALPS処理水の放出から1年を迎えた時点で、ジェトロはこれまでの取り組みについて記者会見を開き、その成果と今後の方針を発表しました。2023年度の主な取り組みとしては、ALPS処理水放出決定後、ジェトロ本部および全国の各拠点に特別相談窓口を設置し、503件もの相談に対応しました。また、日本産水産物の消費需要創出や輸出先の多角化に向けて、国内外で170件以上のPRイベントや商談会を実施しました。これには、700社以上の海外バイヤーと400社以上の日本の水産・加工業者が参加し、1,400件以上の商談を行いました。
特に注目すべきは、ホタテ貝の代替加工先の発掘と、新たな消費市場への販路開拓です。中国での輸出が停止されたため、ジェトロはベトナムやメキシコにミッションを派遣し、新たな加工施設を視察しました。これにより、米国市場向けにメキシコで加工されたホタテが試食提供され、好評を得ることができました。これにより、代替加工先としての可能性が確認され、今後の商談の基盤が整いました。
また、消費需要の創出と日本産水産物の認知度向上にも力を入れており、米国を中心にCNNなどの大手メディアを活用したプロモーション活動を展開しています。ホタテやブリ、タイなどの日本産食材を活用した試食イベントも積極的に行い、海外バイヤーや消費者に日本の水産物の魅力をアピールしました。これにより、日本の水産業の国際的なプレゼンスが高まり、輸出市場での可能性が広がっています。
2024年度に向けて、ジェトロはさらに輸出先の多角化と販路拡大に注力する方針です。特に新興市場と非日系市場の商流構築に焦点を当て、50件以上の商談イベントを計画しています。これにより、輸出市場の多様化を進め、特定国の輸入禁止措置によるリスクを軽減することを目指しています。
これまでの一連の取り組みにより、日本産水産物の輸出先の多角化と新たな販路開拓における課題と可能性が浮き彫りになりました。今後もジェトロは、これらの課題に取り組み、より強靭な水産業の構築に貢献していく予定です。
⇒ 詳しくは独立行政法人日本貿易振興機構のWEBサイトへ