2024年11月28日
労務・人事ニュース
日本発の安全技術が国際基準に!ペダル踏み間違い事故防止装置の世界的採用
日本発のペダル踏み間違い事故防止技術が世界のスタンダードに! ~国連の第194回自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)の結果報告~(国交省)
令和6年11月19日、国連自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)の第194回会議がスイス・ジュネーブで開催され、日本の安全技術が世界基準として採用される大きな成果が得られました。この会議は、自動車の安全性や環境基準を国際的に調和させる場として重要な役割を果たしており、日本はその活動に積極的に関与してきました。
今回の成果の一つとして挙げられるのが、日本が提案した「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」の国連基準化です。この装置は高齢ドライバーを中心に発生するペダルの踏み間違い事故を防ぐために開発されました。装置の主な性能要件には、停止状態からアクセルを全開にしても障害物に衝突しない、あるいは衝突速度を8km/h以下に抑えることが含まれています。また、視覚的な警報が必須条件として設定され、解除や再作動の条件についても詳細な規定が設けられました。この技術は、2022年に日本が提案して以降、国際的な議論を主導してきた結果、今回の会議で正式に合意されました。
さらに、この会議では、翌年の役員選挙も行われ、日本の物流・自動車局車両基準・国際課安全基準室長である猶野喬氏が副議長に再選されました。これにより猶野氏は2023年から3期連続での就任となります。また、環境分野を担当するGRPE会議では、交通安全環境研究所の新国哲也氏が副議長に選ばれ、国連基準策定における日本の影響力がさらに強化されました。日本の代表が主要ポストを占めることは、基準策定プロセスにおける主導権確保を意味しており、日本の技術力や政策提案能力の高さを裏付けています。
WP.29は、自動車安全・環境基準の国際調和と認証の相互承認を目的としており、1958年協定と1998年協定に基づいて活動しています。これらの協定は、それぞれ異なる規則を運営しながら、多国間での基準の統一と認証手続きの簡略化を進める重要な枠組みとなっています。現在、61カ国・1地域が1958年協定に参加し、173の規則を共有しています。一方、1998年協定には39カ国・1地域が加盟し、24の技術規則が運用されています。この枠組みの中で、日本は1977年から継続的に参加し、自動車基準調和における主要なプレーヤーの一つとしての地位を確立しています。
ペダル踏み間違い事故の抑制技術は、特に高齢化が進む社会において重要性が高まっています。日本では、年間に発生する交通事故の中で高齢ドライバーが関与する割合が増加しており、その中でもペダル操作の誤りが原因とされる事故は深刻な問題です。この装置の普及によって、国内外での事故削減が期待されます。また、今回の基準化は、単に日本国内の交通安全を向上させるだけでなく、他国でも同様の技術導入が進むきっかけとなるでしょう。
この技術の試験方法についても詳細に規定されています。障害物の手前1.0mおよび1.5mで停止した状態からアクセルを全開にしても衝突を回避できること、あるいは衝突した場合でも速度が8km/h以下に抑えられることが条件です。また、装置が作動しない場合と比較して速度が30%以上減少していることも求められます。これらの基準に基づき、日本の技術と評価手法が国際的な標準として採用されることになったのです。
このような成果を受け、今後は各国での導入や普及が進むと予想されます。今回の会議を契機に、日本が提案した技術が世界中で活用されることで、交通事故の減少に大きく寄与することが期待されています。物流や自動車産業においても、安全技術の普及は新たな市場の創出や技術革新の促進につながると考えられます。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ