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2024年9月22日

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最大50年以上続く伝承活動も!全国22の防災資産が「NIPPON防災資産」に認定

第1回「NIPPON防災資産」の認定案件が決定 ~災害伝承に関する良質な施設や活動を初めて認定~(国交省)

2024年9月5日、国土交通省と内閣府は、災害伝承に関する施設や活動を「NIPPON防災資産」として初めて認定する制度の開始を発表しました。この制度は、災害の教訓を次世代に伝えるための取り組みを支援し、地域住民が過去の災害の記憶を引き継ぐと同時に、今後の備えを強化することを目指しています。2024年5月に創設されたこの制度では、全国の防災資産候補から選定された22件が「優良認定」と「認定」の2つの区分で初めて認定されました。

「NIPPON防災資産」とは、災害の教訓を地域社会に広め、災害リスクを個々人が自分ごととして捉えるための重要な取り組みです。災害が発生した際、多くの人が「まさか自分が被災者になるとは思わなかった」と感じることが多いのが現実ですが、この制度はそのような意識の転換を促すことを目的としています。認定された施設や活動を通じて、地域の防災力を高め、住民が災害リスクを理解し、主体的な避難行動や地域防災活動に参加することを促進します。

今回の認定は、全国各地で防災に貢献している22件の施設や活動に対して行われ、11件が「優良認定」、残り11件が「認定」とされました。例えば、北海道の「洞爺湖有珠火山マイスター制度」は、2008年から運用されており、持続可能な防災教育プログラムとして他地域の観光客に対して災害伝承活動を行っています。また、東北地方では「3.11伝承ロード」が認定され、東日本大震災の教訓を伝えるために地域全体で防災活動を展開しています。これらの活動は、地域住民だけでなく、国内外からの観光客や教育旅行の一環として多くの人々が訪れ、地域の防災意識向上に貢献しています。

「NIPPON防災資産」に認定された施設や活動は、それぞれが地域独自の災害体験を活かし、語り部活動や体験型防災教育を提供しています。例えば、群馬県嬬恋村では、天明3年の浅間山噴火災害の遺構を保存し、語り部による防災活動を行っています。こうした活動は、地域住民が過去の災害の記憶を未来へ伝えるために重要な役割を果たしており、地域の防災力向上に直結しています。

また、今回の認定では、災害に対する地域の取り組みが評価されている点が特徴的です。新潟県関川村では、羽越水害をテーマにした祭りが50年以上にわたって続けられており、災害の教訓を地域全体で共有する取り組みが高く評価されました。さらに、和歌山県広川町では、安政南海地震の記憶を伝える「稲むらの火の館」が認定され、地域の小学生が語り部活動に参加するなど、次世代への防災教育が活発に行われています。

このように、認定された「NIPPON防災資産」は、単なる災害の記録にとどまらず、地域全体が協力して防災意識を高めるための拠点として機能しています。これらの活動を通じて、住民一人ひとりが災害リスクを自分の問題として捉え、積極的な避難行動や防災活動に参加することが期待されます。防災資産の認定を受けた地域では、今後もこうした取り組みが進展し、地域防災力の向上が図られるでしょう。

さらに、この制度の普及に向けて、国土交通省と内閣府は公式ウェブサイトを通じて情報発信を行っており、防災資産に関する情報が広く公開されています。これにより、認定された防災資産が全国のモデルケースとなり、他の地域でも同様の取り組みが広がっていくことが期待されます。

企業や自治体にとっても、「NIPPON防災資産」の認定は地域防災力の向上を目指す上での大きなチャンスです。地域社会との連携を深め、災害リスクの低減に向けた取り組みを推進することで、企業の社会的責任(CSR)活動としても評価されることが考えられます。災害リスクに備えることは、単に地域の問題だけでなく、事業継続計画(BCP)の一環としても重要です。

今後、この制度を活用して、さらに多くの地域が「NIPPON防災資産」に認定されることが期待されます。各地域での取り組みが全国に広がり、災害に強い社会の実現に向けた一歩となるでしょう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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