2024年12月31日
労務・人事ニュース
東京ドーム3個分の緑化成功!令和5年の屋上・壁面緑化施工データが公開
令和5年に東京ドーム3個分の屋上緑化が創出 ~全国屋上・壁面緑化施工実績調査の結果~(国交省)
都市環境における緑化の取り組みが進む中、令和5年には約15.7ヘクタールの屋上緑化と約5.0ヘクタールの壁面緑化が施工され、東京ドーム3個分に相当する規模が実現しました。国土交通省が平成12年から進める全国的な施工実績調査の結果に基づき、都市のヒートアイランド現象の緩和や脱炭素化、美しい都市空間の創出といった効果が着実に表れています。この緑化推進の背景には、都市環境の質を向上させるだけでなく、生物多様性を確保し、地域社会との調和を図る目的があります。
令和5年のデータによると、植栽基盤の厚みを増やすことが屋上緑化の重要なトレンドとなっており、全施工面積の88.3%で厚い基盤が採用されました。この基盤は水分保持力や栄養供給力が高く、多種多様な樹種の育成を可能にします。特に中高木を含む樹種の持続的な成長が可能となり、都市部でも緑豊かな景観を保つことができます。こうした設計は、生物多様性の促進に寄与し、地域の自然環境との連続性を保つ効果が期待されています。
東京都中央区にある教育文化施設「本の森ちゅうおう」では、厚い植栽基盤が屋上緑化に採用され、四季折々の変化を楽しめる庭園が創出されました。中央区立京橋図書館や郷土資料館を含む複合施設内では、訪れる人々が緑豊かな環境で過ごせるようデザインされており、館内からも緑を眺めることができます。こうした施設は、都市住民に自然との調和を体感させ、持続可能なライフスタイルを促進します。
また、商業施設でも持続可能な緑化が注目されています。東京都渋谷区の東急プラザ原宿「ハラカド」では、約60センチの厚い植栽基盤と気候適応型の樹種を組み合わせた屋上緑化が行われました。この施設は、都会の中に自然を感じる場所を提供し、訪れる人々に心地よい体験をもたらしています。高さ約13メートルに及ぶ壁面緑化や多層階にわたる屋上緑化は、見上げた際の迫力ある緑景観を創り出し、街全体の景観美を向上させています。
一方、官公庁施設でも地域の自然と連携した緑化が進められています。岐阜市役所庁舎では、屋上に50センチを超える厚い基盤を採用し、地域の自然環境を模した庭園が設けられました。山地や河川の環境を再現したゾーニングは、訪れる市民に地域の自然環境の重要性を伝えるとともに、都市と自然との調和を象徴する役割を果たしています。
このように、屋上や壁面の緑化は単なる装飾にとどまらず、都市の持続可能な発展に向けた重要な施策として位置づけられています。令和5年には全国560社を対象に行われたアンケート調査によって施工実績が集計されました。回答回収率は50.7%で、実際の施工状況や今後の課題が明らかになっています。これにより、緑化推進に必要な政策や技術の方向性が明確化されつつあります。
近年、都市部の緑化は気候変動に対応するための重要な取り組みとして注目されています。気温上昇の抑制や自然環境の保全を目指し、厚い基盤を活用した植栽技術が広がっています。こうした技術は、単に緑化面積を拡大するだけでなく、都市住民の生活の質を向上させる大きな可能性を秘めています。
都市部で進む屋上・壁面緑化は、気候変動への適応と都市の魅力向上を同時に実現する取り組みです。これからも、官民が一体となった緑化推進が求められ、さらなる発展が期待されます。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ