2025年1月14日
労務・人事ニュース
東京圏への若者流入が年間12万人超!企業が知るべき地方人材確保の現状
地域課題分析レポート-ポストコロナ禍の若者の地域選択と人口移動-(内閣府)
日本の人口移動のトレンドは長期的に変化を続けていますが、近年、特に若者層の都市集中が顕著になっています。内閣府が発表した「地域課題分析レポート」によると、ポストコロナの状況下でも東京圏への一極集中は再加速しており、その背景には進学と就職の機会を求める若年層の流入が大きな影響を及ぼしていることが分かりました。
例えば、2024年までのデータによると、東京圏への転入超過数は年間12万人を超え、特に20代前半の若者が中心となっています。興味深いことに、20代女性の流入が男性を上回る傾向が2010年頃から定着しており、これは希望の就業環境や都市生活の魅力が大きな要因となっています。また、東京都に限定して見ても、2024年10月時点で男性が約37,000人、女性が約41,000人の転入超過となり、前年同期比でも増加しています。このような状況は、若者層のライフスタイルとキャリア選択が地域間の人口移動を大きく左右していることを示唆しています。
進学の観点では、高校卒業後の進路における大学進学率が50%以上となり、過去30年間で倍増しました。特に東京圏や関西圏など大都市圏への流入が目立ちます。例えば、2024年には東京都の大学に進学する地方出身者が約7.8万人に達し、コロナ禍前の2019年と比較しても増加していることが確認されています。一方、地方の大学は魅力あるカリキュラムや地域密着型の教育を強化することで競争力を高めようとしています。広島大学と地元企業との連携による新産業創出や、北陸地方の大学発スタートアップ支援はその具体例です。
また、就職時の人口移動においても、都市部への集中は続いています。非大都市圏から東京、大阪、名古屋への移動理由としては、「希望する職種や業種が地元にない」「賃金や待遇が優れている」といった就業環境の理由が多く挙げられています。一方で、「都会の方が生活が便利」「趣味活動が充実する」といった生活環境への魅力も大きな要因となっています。特に女性においては、「地元から離れたい」という理由が男性よりも強く、都市部での新たな生活を求める傾向が顕著です。
これらの人口移動の動向は、企業の採用戦略にも大きな影響を与える可能性があります。特に地方での人材確保が課題となる一方、大都市部に集中する人材をいかに地方に呼び戻すかが鍵となります。UターンやIターンの促進を図るためには、地方の雇用環境の整備や生活支援策が重要です。実際、いくつかの地方自治体では、テレワークを活用した働き方を推進し、都市部からの人材誘致を目指す取り組みが進められています。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ