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2024年8月11日

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東京都内のラーメン店、倒産が前年の倍増ペースに。経営困難の背景にある「1000円の壁」とは?

帝国データバンク「「ラーメン店」の倒産動向調査(2024年1-7月)」(2024年8月2日)

2024年の前半におけるラーメン店の倒産件数が、例年に比べて急激に増加しています。今年1月から7月までの間に倒産したラーメン店は49件に達し、前年の同時期の倒産件数である53件に迫る勢いです。このペースが続けば、年間の倒産件数が初めて100件を超える可能性もあり、業界全体に大きな不安をもたらしています。

この背景には、複数の要因が複雑に絡み合っています。まず、店舗運営にかかるコストが大幅に上昇している点が挙げられます。人件費や電気代などの基本的なコストが増える一方で、ラーメンの原材料費も著しく上昇しています。

帝国データバンクの試算によれば、ラーメンの原価は2022年から2024年にかけて1割以上増加しました。特に、豚骨やチャーシューなどの主要な具材となる豚肉の価格が前年から約2割も上昇しており、これがラーメン店の経営に大きな負担をかけています。また、スープを24時間加熱することで高品質を保つ店舗では、光熱費の増加も経営圧迫の要因となっています。

さらに、ラーメン業界独特の事情として、「1000円の壁」という価格設定の難しさも存在します。特に東京都心では、ラーメン1杯の価格が1000円を超える店が増えていますが、地方や中小規模の店舗では、コロナ禍以前の600円から800円台の価格帯で提供し続けている店も多くあります。しかし、物価高によってこの価格帯を維持することが困難になっており、「値上げをすると客足が遠のく」という悪循環に陥る店が増えているのです。

これらの要因が重なり、多くのラーメン店が経営の危機に直面しています。特に、味のクオリティを維持しつつコストを削減することが難しいため、経営破綻に追い込まれる店舗が後を絶ちません。ラーメン店は、地域に根付いた文化や食習慣の一部であり、その存続が危ぶまれる現状は、多くの人々にとっても無視できない問題です。今後、業界全体で「適正価格」の設定や新たな経営戦略の模索が進むことが求められていますが、この試練を乗り越えるには相当の努力と工夫が必要となるでしょう。

ラーメン店経営者にとって、今後の展開は不透明であり、業界全体としても厳しい状況が続くことが予想されます。しかし、ラーメンという食文化を守り抜くためには、時代の変化に対応しながらも、品質と価格のバランスを見つけることが不可欠です。どのようにしてこの難局を乗り越えていくのか、業界全体が注目されています。

⇒ 詳しくは帝国データバンクのWEBサイトへ

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