2025年1月7日
労務・人事ニュース
東京都 251,901人の障害者雇用が示す未来の働き方とは?令和6年の最新データ(令和6年6月1日時点)
令和6年障害者雇用状況の集計結果(東京労働局)
東京都労働局が発表した令和6年の「障害者雇用状況」について、最新のデータを元に解説します。この報告では、民間企業、公的機関、地方公共団体、独立行政法人等の障害者雇用に関する状況が詳しく取り上げられています。この記事ではその主要なポイントをわかりやすくまとめています。
障害者雇用促進法に基づき、事業主には法定雇用率を遵守する義務があります。民間企業の場合、法定雇用率は2.5%と定められており、公的機関や地方自治体、独立行政法人等では若干異なる数値が設定されています。本年の調査では、法定雇用率を達成している企業の割合は30.5%となり、前年と比較して3.9ポイント減少しました。一方で、障害者雇用の実雇用率は2.29%と過去最高を記録し、前年の2.21%を上回る結果となりました。
民間企業における雇用障害者数は251,901人で、前年から12,569人増加し、これもまた過去最高となっています。この内訳を見ると、身体障害者が142,542人、知的障害者が50,707人、精神障害者が58,652人となっており、精神障害者の雇用が最も急激に増加していることが特徴です(前年比16.0%増)。
企業規模別に見ると、1,000人以上規模の大企業での実雇用率が2.60%と最も高い一方、40~100人未満の中小企業では0.92%と低迷しています。これは、企業規模が大きいほど障害者雇用における取り組みが進んでいることを示唆しています。また、産業別では「運輸業、郵便業」「医療、福祉」「製造業」が特に実雇用率が高く、これらの分野での障害者雇用が進展していることがわかります。
地方公共団体における雇用状況も重要なポイントです。東京都の機関では障害者の実雇用率が3.32%に達し、全ての機関で法定雇用率を達成しました。一方、区市町村の機関では達成率が73機関中35機関に留まり、東京都教育委員会では実雇用率が1.95%で法定雇用率を下回る状況が続いています。
独立行政法人等においては、障害者の雇用率が2.84%と前年の2.78%からわずかに上昇しましたが、依然として全体の77.3%しか法定雇用率を達成していない状況です。
障害者雇用の拡大に向けた課題として、未達成企業の割合が依然として高いことが挙げられます。法定雇用率未達成企業数は17,369社で、そのうち障害者を1人も雇用していない企業が56.3%を占めています。このような企業に対しては、労働局が「障害者雇入れ計画」の作成を命令し、適切な雇用を促進しています。
また、特定の障害者雇用が困難とされる業種においては、職種に応じた特例措置が取られるなどの工夫も見られます。例えば、重度身体障害者や重度知的障害者については1人を2人分としてカウントするダブルカウント制度が設けられており、雇用率向上を支援する仕組みとなっています。
今後の課題としては、中小企業の障害者雇用率の低迷や、未達成企業への更なる指導が求められると同時に、障害者自身が働きやすい環境整備が必要です。また、企業にとっても障害者雇用が生産性向上に寄与するという認識を高めることが重要です。企業が障害者雇用を進める上での実践例や成功事例の共有が、そのための鍵となるでしょう。
⇒ 詳しくは東京労働局のWEBサイトへ