2025年2月24日
労務・人事ニュース
東北の百貨店売上前年比8%増加!小売業界が採用強化すべき理由とは(令和7年1月)
景気ウォッチャー調査(令和7年1月調査)― 東北(現状)―(内閣府)
東北地方の景気動向に関する最新の調査によると、業種によって景気の動きが異なるものの、全体としては緩やかな回復基調にある。しかし、物価の上昇やエネルギー価格の高騰が続き、消費者の購買意欲に影響を与えている。特に、小売業や観光業では売上の伸びが見られる一方で、製造業や建設業においては慎重な経営が続いている。こうした状況の中で、企業の採用活動も影響を受けており、業種ごとの人材確保の課題が浮き彫りになっている。
まず、小売業界では、百貨店やスーパー、コンビニエンスストアなどの業態によって異なる動きが見られる。百貨店では改装効果により、ファッションや化粧品関連の売上が増加し、特に20~30代の若年層の来店が伸びている。また、スーパーでは客単価が前年同月比で約4%上昇し、全体的な売上も前年比8%増加している。しかし、野菜や米などの生活必需品の価格が上昇し、消費者の生活防衛意識が強まっているため、高価格帯の商品は売れにくくなっている。一方、コンビニエンスストアでは物価上昇による単価の上昇が見られるものの、来客数の増加はほぼ見られず、消費者の買い控えの傾向が続いている。
観光業界では、都市型ホテルを中心にインバウンド需要が回復しており、特に台湾からの観光客が増加していることが報告されている。スキーリゾートを含む観光地では、旧正月の影響で外国人観光客の来訪が増え、ホテルの稼働率も上昇傾向にある。しかし、ガソリン価格の高騰が続いており、地方観光地への移動コストが上昇しているため、国内観光客の動きは鈍化している。タクシー業界では、大雪の影響で利用者数が増えているものの、長期的な需要の伸びは見込めず、今後の対策が求められている。
製造業や建設業では、依然として厳しい状況が続いている。製造業では、電気機械器具製造業において半導体関連の受注見込みが減少し、輸送用機械器具製造業でも受注確定件数の減少が報告されている。建設業では、冬季にもかかわらず工事案件が一定数確保されているが、民間案件の受注契約が延期となるケースが増えており、先行きに不透明感がある。金属製品製造業では、中国市場の低迷の影響を受け、取引先の在庫調整が進んでいることから、受注量が減少している。
雇用市場においては、人材不足の状況が続いている一方で、求職者数の減少が顕著になっている。特に、小売業や観光業では人材の確保が急務となっており、採用活動を強化する動きがみられる。人材派遣業界では、求人の増加傾向が続いており、新卒採用活動の前倒しが進んでいるケースも報告されている。しかし、求職者数の減少により、企業は採用に苦戦している状況が続いている。特に、小売業やサービス業では、低賃金の職種において人材確保が難しくなっており、企業側は賃上げや労働環境の改善を進める必要がある。
一方で、企業の採用意欲には業種ごとに大きな差がある。建設業や運輸業では引き続き人材を求める動きが強いが、小売業や飲食業では採用を慎重に進める傾向がみられる。特に、広告業界や出版・印刷業界では、デジタル化の加速や広告費の抑制傾向が続いているため、採用活動が停滞している。金融業界では、物価高の影響で一般消費の動きが鈍くなっていることから、企業の採用計画にも慎重な姿勢がみられる。
このように、東北地方の経済動向を踏まえると、採用市場は業種によって大きく異なる傾向が見られる。観光業や小売業では人材確保のニーズが高まっている一方で、製造業や建設業では厳しい経営環境が続いているため、慎重な採用計画が求められる。企業の採用担当者は、こうした経済動向を的確に把握し、自社の業界に適した採用戦略を立てることが重要となる。
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