労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 東海地方の景気回復傾向と人材不足の影響、採用戦略に求められる柔軟性とは(令和7年1月調査 先行き)

2025年2月25日

労務・人事ニュース

東海地方の景気回復傾向と人材不足の影響、採用戦略に求められる柔軟性とは(令和7年1月調査 先行き)

景気ウォッチャー調査(令和7年1月調査)― 東海(先行き)―(内閣府)

東海地方の景気動向に関する最新調査が発表され、消費動向や企業の業績、雇用市場の変化などが明らかになった。今回の調査では、業種ごとの景況感の違いが際立っており、インバウンド需要の高まりや物価高の影響などが、各業界にさまざまな形で影響を与えていることが浮き彫りになった。

まず、小売業界においては、消費動向に明確な変化が見られた。百貨店では、高額品や食品が引き続き好調な売れ行きを示しているが、特に中間層向けのファッション衣料品に動きが見られるようになっている。これは、消費者の購買意欲が物価高の影響を受けながらも、一定の回復傾向にあることを示している。百貨店の営業担当者によると、「富裕層の購買行動やインバウンドの影響もあり、今後も売上増加が見込まれる」という。ただし、食品価格の上昇や生活必需品の高騰が続いており、中間所得層の購買行動に影響を与え続けている。

一方、スーパーやコンビニエンスストアでは、客単価の上昇は見られるものの、来店頻度の減少が懸念されている。特に、青果物の価格が安定せず、生野菜から冷凍野菜や加工品へのシフトが進んでいる点が指摘されている。スーパーの経営者は「物価高騰の影響で、消費者は購入を控える傾向にある。特に米や野菜などの価格上昇が続いており、消費者の節約志向が強まっている」と分析する。

乗用車販売業界に目を向けると、新車の販売台数が前年より減少している一方で、1台あたりの単価は大幅に上昇している。これは、新車の入庫台数が少ないことが影響しており、従来の薄利多売のビジネスモデルから、自社顧客を大切にする販売戦略へと移行していることが要因だと考えられる。また、乗用車販売店の経営者は「3月までは販売需要が高まる見込みであり、各社の宣伝活動も活発化するため、一定の盛り上がりが期待できる」としている。しかし、消費者の支出が慎重になっていることや、インフレや金利上昇の影響で高額商品の購入を控える傾向が続く可能性も指摘されている。

観光業に関しては、コロナ禍以降で初めて本格的な旅行需要の回復が見込まれている。旅行代理店の営業担当者は「春以降の予約数は、新型コロナウイルス感染症が発生する前の水準に戻りつつある。バス代やホテル代の高騰により、客単価が上昇しているものの、旅行への意欲は衰えていない」と語る。ただし、ホテル業界においては、光熱費や食材費の上昇が経営の負担となっており、今後の販売価格への転嫁が課題となっている。観光型ホテルの支配人は「4月以降、大阪・関西万博の影響を懸念しているが、インバウンド宿泊客や宴会の予約が増えているため、一定の需要は期待できる」と述べた。

また、家計関連の動向では、通信会社のサービス担当者が「引っ越しシーズンに合わせて、インターネット回線やテレビサービスの申し込みが増加する」と報告しており、新生活のスタートに伴う支出の増加が見込まれている。一方で、美容室や飲食業界では、消費者の節約志向の影響が表れている。美容室の経営者は「物価上昇の中で賃金が上がっていないため、消費者が支出を抑える傾向が続いている」と話しており、飲食業界でも「食品の値上がりが続く中、地方の居酒屋などは依然として厳しい状況が続いている」との声が聞かれた。

雇用市場では、求職者の動きが活発化しているものの、賃上げが期待される一方で、大企業と中小企業の格差が拡大しつつあることが懸念されている。特に、製造業や輸送業においては、人手不足が深刻化しており、「賃上げができない企業は、人材確保がより困難になる」という指摘もなされている。一方で、民間職業紹介機関の担当者は「年度末から新年度にかけて求人数の増加が見込まれる」としており、一時的な雇用の動きには期待が持てる。

全体として、東海地方の景気は緩やかに回復しつつあるものの、依然として不透明な要素が多く、業種によって明暗が分かれる状況が続いている。今後の景気の行方は、物価高や円安の影響、海外経済の動向、政府の政策など、多くの要因によって左右されることが予想される。

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ