2024年11月23日
労務・人事ニュース
東海地方の観光業、2024年10月の紅葉シーズンで前年比15%増の集客達成も、目標には未達成
景気ウォッチャー調査(令和6年10月調査)― 東海(現状)―(内閣府)
2024年10月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社による景気ウォッチャー調査が実施され、東海地方の現状が浮き彫りとなりました。この調査では、小売業、観光業、製造業、不動産業など幅広い業種を対象に、地域経済の動向を詳細に分析しています。
商店街や一般小売店の調査では、観光客の増加が注目されました。特に観光地に近い小売業者では、観光バス利用者の増加が売上に寄与していると報告されています。一方で、生活必需品の価格上昇が顕著で、余暇や嗜好品に費やす消費者は依然少なく、生活関連商品を取り扱う店舗では売上減少に直面しているとの声が挙がっています。また、スーパーでは米の価格上昇にもかかわらず販売量が安定しており、全体的な売上は堅調に推移している状況が確認されました。
コンビニエンスストアでは、飲料や行楽関連商品の販売が好調であるものの、最低賃金の引き上げや水道光熱費の上昇によるコスト負担が課題とされています。また、購買意欲の低下が全体的な課題として挙げられ、消費者が厳選した買い物をしている様子が浮かび上がります。
観光業界では、都市型ホテルや観光型ホテルの利用客が増加傾向にありましたが、平日利用は伸び悩むケースが見られました。テーマパークでは紅葉シーズンの効果があり、国内外からの団体客が増加している一方で、全体の集客目標を達成するには至っていないとの指摘があります。
製造業では、半導体関連需要が堅調で、生産量が増加した企業も報告されています。一方、円安の影響で輸入商材のコスト上昇が販売量に影響しているケースもあり、特に紙加工業や一般機械器具製造業では前年割れが続いています。自動車関連の設備投資が控えられていることも一部の業界で懸念材料となっています。
不動産業や住宅関連業では、顧客数の減少と購入意欲の低迷が目立っています。分譲住宅の価格が上昇しており、購入のハードルが高まっていることが背景にあると考えられます。一方、賃貸やリノベーション市場では一定の需要が維持されており、地域によっては堅調な動きが報告されています。
雇用市場では、人手不足感が強まる一方で、求職者数は増加しているという矛盾した状況が浮き彫りになりました。特に高齢者層で就職が進まず、求職者が滞留していることが指摘されています。最低賃金の引き上げに伴うコスト増加が企業収益を圧迫しており、中小企業では新規雇用を控える動きも見られます。
また、通信業界や輸送業界では、物価上昇に伴うコスト負担が課題となっています。特に通信市場では価格競争が激化しており、設備維持コストの上昇が収益に影響を及ぼしています。輸送業では、荷物量の減少傾向が顕著で、物量全体の鈍化が地域経済に影響を及ぼしています。
総じて、東海地方では観光業や一部製造業が堅調な動きを見せる一方で、物価上昇や実質賃金の低下が家計消費や企業活動に負の影響を及ぼしている現状が明らかになりました。この地域特有の課題に対応するためには、観光資源を活用したさらなる需要喚起策や、生活必需品価格の安定化に向けた取り組みが求められるでしょう。
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