2025年2月19日
労務・人事ニュース
栃木県の新卒就職状況 大学生79.9%、高校生92.7%の内定率(令和6年12月時点)
令和7年3月新規学校卒業予定者の求人・求職・就職内定状況(令和6年12月時点)(栃木労働局)
栃木労働局は、令和7年3月に新たに卒業を迎える学生の求人・求職・就職内定状況を取りまとめた。この調査は、大学や短大、高校を卒業する学生がどのような雇用環境に直面しているのかを把握し、企業や求職者にとって有益な情報を提供することを目的としている。
まず、大学卒業予定者の就職内定率は79.9%と、前年同期と比較して0.1ポイントの微増となった。一方で短期大学の就職内定率は65.1%で、前年同期から6.9ポイントの減少を記録している。この結果から、大学生の就職活動は比較的安定しているものの、短期大学生の就職環境には厳しさが見られる。
次に、高校卒業予定者については、就職内定率が92.7%で、前年より0.3ポイント低下した。就職内定者数は2,602人で、前年より1.7%の減少となっている。求職者数は2,808人で前年より1.4%減少し、求人数は8,459人で前年より0.7%の減少を記録した。しかし、求人倍率は3.01倍となり、前年を0.02ポイント上回った。つまり、求人数に対して求職者数が少なく、引き続き高校生の就職環境は良好といえる。
業界別の求人数を見ると、建設業は1,598人、製造業は3,249人となり、前年と比較してわずかな減少が見られる。運輸業・郵便業は220人で、大幅な減少傾向にある一方、宿泊業・飲食サービス業は412人と微増した。生活関連サービス業や娯楽業も前年より増加し、439人の求人があった。医療・福祉分野では666人の求人があり、前年より減少したものの、依然として多くの人材を求めている業界である。
企業の規模別では、従業員数30人未満の企業の求人が2,712人、30~99人の企業では2,741人、100~299人の企業は1,748人と、それぞれ若干の変動が見られた。特に1,000人以上の大企業の求人は337人と増加しており、安定した雇用を求める求職者にとって魅力的な選択肢となっている。
職種別の動向を見ると、生産工程従事者の求人は3,277人と最も多く、サービス職従事者も1,360人と前年並みの水準を維持している。販売職の求人は599人で前年より増加し、事務職も608人と増えている。一方で、運搬・清掃・包装等従事者の求人は1,103人と減少し、労働集約型の職種での採用がやや抑制されていることが伺える。
全体的に見ると、高校生の就職内定率は引き続き高水準を維持し、大学生の就職内定率も安定している。ただし、短期大学生の内定率の低下や一部の業界における求人数の減少は、今後の雇用動向に影響を与える可能性がある。特に運輸業や医療・福祉業界など、一部の産業では人材確保が厳しくなっており、企業は採用戦略の見直しが求められる。
企業の採用担当者にとって、このデータは新卒採用の現状を把握し、適切な人材確保の戦略を立てるための重要な指標となる。求人倍率が3倍を超えている状況からも、高校生の採用競争は依然として激しいことがわかる。特に大企業を中心に新卒採用の枠が広がる中、中小企業は求職者に対してより魅力的な条件を提示する必要がある。
今後、求職者は企業の安定性やキャリアパスを重視する傾向が強まると考えられるため、企業側も職場環境の改善や研修制度の充実に取り組むことが求められる。特に短期大学生の就職環境が厳しくなっている点については、企業側が積極的にインターンシップや実習機会を提供し、早い段階から人材確保に努めることが重要となる。
こうした動向を踏まえ、企業の採用担当者は市場の変化を的確に捉え、柔軟な採用戦略を構築する必要がある。特に中小企業は、待遇面の改善や働きやすい環境の整備を進め、求職者にとって魅力的な職場作りに力を入れることが求められる。引き続き、栃木県内の雇用情勢に注目しながら、労働市場の変化に対応する姿勢が重要となるだろう。
⇒ 詳しくは栃木労働局のWEBサイトへ