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2025年1月11日

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正社員不足が深刻化!採用戦略の見直しが求められる令和6年労働市場動向 労働経済動向調査(令和6年11月)

労働経済動向調査(令和6年11月)の概況(厚労省)

厚生労働省が発表した令和6年11月の労働経済動向調査の結果は、企業の採用戦略や人材確保において多くの示唆を与える内容となっています。この調査は、景気変動が雇用に及ぼす影響や将来の動向を把握することを目的としており、四半期ごとに実施されています。今回の調査では全国の5,786事業所が対象となり、そのうち2,938事業所が回答を寄せました。有効回答率は約50%で、十分な信頼性を持つ結果といえます。

今回の調査結果の中で最も注目すべき点は、労働者の過不足に関するデータです。調査時点で、正社員が不足していると回答した事業所の割合は非常に高く、労働者過不足判断D.I.(ディフュージョン・インデックス)は+46ポイントに達しました。この値は、正社員の人手不足を深刻に感じている事業所が多いことを明確に示しています。一方、パートタイム労働者に関してもD.I.は+30ポイントと高く、労働力全般にわたる不足感が広がっていることが伺えます。

業種別のデータを詳しく見ると、正社員においては不動産業や専門技術サービス業、さらに情報通信業で特に高い需要があることがわかりました。それぞれの業界でD.I.が+13ポイントを記録しており、技術革新や経済の復調がその背景にあると考えられます。情報通信業での需要増加は、特にデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展が影響していることが推察されます。一方、パートタイム労働者では宿泊業や飲食サービス業、さらにはサービス業全般での需要が顕著であり、宅配サービスや観光需要の回復がその要因として挙げられるでしょう。

また、労働市場の動向に関連するもう一つの重要なテーマは、働き方改革への取り組みです。調査によれば、回答した事業所の64%が働き方改革に積極的に取り組んでいることがわかりました。この中で最も多くの事業所が重視した項目は福利厚生の充実であり、全体の53%にのぼります。次いで基本給の見直しが52%、諸手当の改善が50%と続きます。これらの取り組みは、従業員の離職率低下や採用力向上を目的としたものであり、給与面での待遇改善に焦点を当てた企業の姿勢が顕著です。

特に基本給の改善については、前年同期比で1ポイント増加しており、企業間の給与競争が激化していることを示唆しています。これは採用活動における魅力の一つとして、給与水準の適正化が求められていることを反映していると考えられます。また、給与や待遇だけでなく、柔軟な勤務体制の導入やキャリア形成支援を組み合わせることで、さらに多様な層の人材を引きつける可能性があります。

これらの調査結果から、企業の採用担当者にとって重要な示唆がいくつか得られます。第一に、採用計画の早期着手とターゲットの明確化が求められるという点です。特に需要が高い業界や職種では、スキルマッチングを重視した採用戦略が効果的です。第二に、福利厚生や給与水準の引き上げを通じた競争力の確保が必要です。具体的には、勤務形態の柔軟化や多様なキャリア支援プログラムを提供することで、従業員満足度を向上させ、離職率を低下させる取り組みが有効です。

さらに、中小企業にとっては大企業との競争が一層激化していることから、地域の特性や独自性を活かした採用活動が鍵となります。たとえば、地方での生活の魅力を打ち出す採用キャンペーンや、地域住民との連携を強化することで、地域密着型の人材確保を進めることが可能です。特に少子高齢化が進む日本社会では、若年層の人材確保だけでなく、シニア層や女性の活用も視野に入れるべきです。

今回の調査結果は、企業が今後の採用活動を見直すうえでの重要な指針となります。労働市場の動向を的確に把握し、迅速かつ柔軟な対応を取ることで、変化の激しい経済環境に適応することが求められます。これにより、企業は持続的な成長を実現し、社会的な責任を果たすための基盤を構築することができるでしょう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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