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2024年12月26日

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歯科診療情報の標準化で身元確認を迅速化!全国100万件のデータベース構築計画

令和6年版死因究明等推進白書 第7章 身元確認のための死体の科学調査の充実及び身元確認に係るデータベースの整備(厚労省)

身元不明の遺体の特定や死因究明を目的とした取り組みが近年大きく進展しています。この中で注目されるのが歯科情報の活用です。警察や法医学教室、厚生労働省などが連携し、データベース構築や標準化の取り組みを進めており、特に歯科所見が身元確認に果たす役割は非常に重要視されています。以下では、これらの取り組みについて詳しく説明します。

まず、歯科所見を活用した身元確認は、法医学や警察の分野での重要な手段の一つです。都道府県歯科医師会と警察が連携して、歯科治療歴やデンタルX線、CT所見を基に身元不明の遺体を特定する取り組みが進められています。特に大規模災害時には、迅速な身元確認が求められるため、歯科情報の活用は極めて重要です。このような背景から、標準化された歯科診療情報を基にした大規模データベースの構築が検討されています。具体的には、歯科診療情報をレセプトコンピュータから出力するための共通コード「標準コード仕様」の導入が進められています。このコード仕様は、令和3年3月に厚生労働省の保健医療情報分野の標準規格として採用され、今後、身元確認データベース構築の基盤となることが期待されています。

また、データベース構築に伴い、歯科医療機関の協力も不可欠です。レセプト提出方法やデジタルレントゲン装置の導入状況などの調査が行われ、歯科診療情報の収集や管理における課題が整理されています。さらに、歯科医療機関の職員を対象にした研修を開催し、標準化の意義や重要性を普及する取り組みも進められています。これらの活動を通じて、歯科情報の効率的な活用が実現され、迅速かつ正確な身元確認が可能となることが期待されています。

京都府立医科大学法医学教室の取り組みも興味深い事例の一つです。この教室では、歯科治療所見を基にした身元照合や、歯の摩耗度を基にした年齢推定、口腔衛生状態からの生活実態推定、さらに噛み跡の鑑定といった多岐にわたる取り組みを行っています。特に、医科と歯科が協力して総合的な鑑定を行う体制を整えている点が特徴的です。また、生体鑑定として児童虐待の兆候を確認するために一時保護施設での歯科検診を実施するなど、死体のみならず生体に対する調査にも積極的に取り組んでいます。これらの活動により、医科と歯科の垣根を越えた幅広い範囲での科学調査が進められています。

さらに、データの信頼性とプライバシー保護が重視されています。レセプトデータを利用して個人識別の精度を検証するほか、データ提供者である歯科医療機関の理解を得るための取り組みも進行中です。これにより、歯科情報を安全かつ効果的に利用するための仕組みが整備されています。

これらの取り組みは、単に身元確認を効率化するだけでなく、災害時の迅速な対応や犯罪捜査の精度向上にも寄与しています。また、歯科医療と法医学の連携を強化することで、新しい技術や知識の発展も期待されています。今後はさらにデータベース構築や教育の充実が求められるとともに、国民の理解と協力が欠かせない課題となるでしょう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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