2025年5月19日
労務・人事ニュース
母親の有職率84.1%、過去最高水準に到達した子育て世代の就業実態とは
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最終更新: 2025年6月11日 22:32
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最終更新: 2025年6月12日 07:11
第14回21世紀出生児縦断調査(平成22年出生児)の概況 母の就業状況の変化(厚労省)
厚生労働省が公表した「第14回21世紀出生児縦断調査(平成22年出生児)」の結果は、母親の就業状況の変化について極めて重要な示唆を含んでいます。この調査は、平成22年に生まれた子どもが中学2年生に達した現在の段階で実施されており、出生直後からの家庭環境や母親の就業の継続性について綿密に追跡されています。調査の信頼性は非常に高く、回答者は第1回から第14回すべてに参加し、かつ「母と同居」していた者に限定されています。そのため、継続的な就業状況や育児との両立に関する動向を精度高く把握することが可能です。
今回の調査において、まず注目すべき点は、平成22年出生児を対象とした母親の有職率が84.1%に達しているということです。これは、比較対象となる平成13年出生児の第14回調査時点(中学2年生)での有職率79.3%を4.8ポイント上回る結果です。母親の就業率がこのように上昇している背景には、社会全体としての働き方改革の進展や、企業における育児支援制度の整備が大きく寄与していると考えられます。たとえば、在宅勤務や時短勤務など、柔軟な働き方が広がりを見せていることにより、子育てと仕事の両立がしやすくなったことがうかがえます。
さらに、母親の就業形態の内訳に目を向けると、「勤め(常勤)」として継続的に働いている割合が平成22年出生児においては32.4%に達しており、平成13年出生児の24.1%と比べて8.3ポイント高くなっています。このデータは、出産1年前に常勤で働いていた母親が、その後も中断することなく就業を継続できている傾向が強まっていることを示しており、職場でのサポート体制が以前よりも整ってきている証拠といえます。また、「勤め(パート・アルバイト)」の割合も着実に上昇しており、第1回調査(出産半年後)で5.6%だったのが、第14回調査時点では44.3%にまで増加しています。この結果は、育児のフェーズに応じて柔軟に働くことを選ぶ母親が増えていることを表しており、家庭とキャリアの両立を実現するための多様な働き方が社会に浸透してきたことがうかがえます。
調査を通じて明らかになったもう一つのポイントは、出産前後における就業状況の変動です。平成22年出生児の母親において、出産1年前の有職率は61.6%でしたが、出産半年後の第1回調査では35.2%まで低下しています。その後、年を追うごとに回復し、第14回調査では84.1%という過去最高の水準に達しています。つまり、多くの母親が出産を機に一時的に就業を中断するものの、その後は職場に復帰しているケースが増加していることが分かります。これは、職場における育児復帰支援制度の拡充や、保育施設の整備が進んできたことによるものと考えられます。
このようなデータの蓄積と分析は、企業の採用戦略や人事制度の見直しにおいて非常に有用です。特に人材の長期的活用を目指す企業にとっては、出産や育児といったライフイベントに柔軟に対応できる制度設計が求められており、それが実際に母親の就業継続率の上昇という形で効果を上げていることが数値で裏付けられました。採用担当者にとっては、育児期の女性でも安心してキャリアを継続できる環境を整えることが、優秀な人材の確保と離職率の低下に直結する戦略であると認識すべきです。
また、平成22年出生児の母親たちに関しては、就業継続の意欲が非常に高く、出産1年前に常勤で勤務していた母親のうち32.4%が第14回調査時点まで継続して働き続けているという事実は、企業にとっても大きな示唆を与えます。これは、単に制度があるだけではなく、それが実際に活用されている環境であることの証です。こうした現実を踏まえると、企業が掲げる育児支援制度が、いかに実効性をもって機能しているかを定期的に検証し、実態に即した改善を重ねていくことが、信頼される職場づくりにつながるといえるでしょう。
さらに、母親の就業に関する傾向は、企業全体のダイバーシティ推進にも深く関わっています。多様な働き方を容認し、育児中の従業員にも十分な活躍の場を提供できる企業は、働きがいのある職場として評価されやすくなり、優秀な人材を惹きつける魅力を高めることができます。また、従業員満足度の向上や、組織内のエンゲージメントの強化といった副次的効果も期待できるため、人的資本経営を推進するうえでも重要な要素となるでしょう。
これらのデータをもとに、企業の採用担当者が取るべきアクションとしては、出産や育児を経ても働き続けられる柔軟な労働環境の整備、職場復帰支援の強化、そしてキャリアパスの可視化が挙げられます。特に若年層の女性にとって、結婚・出産後もキャリアを維持できるか否かは、企業選びの際の大きな判断材料となるため、制度の充実だけでなく、その実績を具体的に示すことが求められます。
今後の労働市場において、少子高齢化が進む中での持続可能な雇用環境の構築は社会的にも急務です。母親の就業支援はその一環として、企業と行政が連携し、データに基づいた施策を講じることがより一層重要となるでしょう。厚生労働省による本調査のような長期的・縦断的なデータは、現場の実態を把握し、より精度の高い支援施策を設計するための貴重な資源であり、今後も継続的な活用が望まれます。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ