2024年11月29日
労務・人事ニュース
毎月勤労統計調査 令和6年9月分結果確報 鉱業で月間給与338,703円を記録!前年比11.3%増加
毎月勤労統計調査 令和6年9月分結果確報 第1表 月間現金給与額(厚労省)
令和6年9月に公表された最新の給与データによると、日本のさまざまな産業における現金給与額や各種給与内訳について、前年比で多様な変動が見られる結果となりました。このデータは、全国の事業所規模5人以上を対象に調査されたもので、就業形態や産業別に細かく分析されています。以下、企業の採用担当者が注目すべきポイントや分析を中心に解説していきます。
まず、全体の調査産業計における月間現金給与額は291,712円で、前年比2.5%の増加となりました。これは近年の物価上昇や賃上げムードが反映されたものと考えられます。このうち、きまって支給される給与(ベース給与)は282,810円で前年比2.2%増加しており、安定的な収入部分が確実に伸びていることが確認できます。一方、所定外給与(時間外手当)は19,081円で前年比0.9%の減少が見られました。このことは、労働時間削減や業務効率化の取り組みが一定の成果を上げている可能性を示唆します。
業種別に見ると、鉱業や採石業等の給与額が突出しており、月間現金給与額は338,703円、前年比で11.3%増加しています。この業界では、ベース給与が331,667円と特に高く、前年比9%の増加が見られました。特別に支払われた給与も7,036円で前年比1,532.5%と大幅な増加を記録しており、インセンティブや特別手当が拡充されていることがうかがえます。
一方、建設業では月間現金給与額が384,535円と全体平均を上回り、前年比5.1%増加しました。このうち、きまって支給される給与が366,464円と高く、前年比3.1%増加しています。また、特別に支払われた給与は18,071円で前年比79.9%増加しており、建設業界の景気回復やプロジェクトの活況が影響していると考えられます。
製造業についても注目すべき点が多く、月間現金給与額は335,488円、前年比2.7%増加しています。特に所定内給与は326,597円で前年比2.8%増加しており、安定した給与体系が維持されていることが特徴です。所定外給与も29,968円と前年比1.9%増加しており、残業や追加業務の需要が増加傾向にあると見られます。
特別に支払われた給与に関しては業種間で大きな差が見られ、特定の産業において一時的なインセンティブやボーナスが給与全体を引き上げる要因となっています。鉱業や建設業のように特別給与の増加率が非常に高い業界は、人材確保のために柔軟な給与制度を導入している可能性が考えられます。
以上のデータから、企業の採用戦略において重要なポイントを挙げると、まずは競合業界の給与水準や成長率を踏まえた給与体系の見直しが必要です。また、特別給与やインセンティブの効果的な活用が求職者の目を引く要素となり得るでしょう。さらに、所定外給与の割合が減少していることを活かし、労働時間管理の適正化や働きやすい職場環境の整備をアピールポイントとすることが有効です。
この調査結果は、企業の人事部門にとって採用力強化のための重要な指針となるでしょう。具体的な給与データに基づいた分析を行うことで、自社の競争力を高める施策を検討することが求められます。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ