2025年1月12日
労務・人事ニュース
水道水質の安全性を確保:PFOS・PFOA調査で検出事業数ゼロ
水道におけるPFOS 及びPFOA に関する調査の結果について(最終取りまとめ)(国交省)
令和6年12月24日、国土交通省と環境省が共同で実施した「水道におけるPFOSおよびPFOAに関する調査」の最終報告が公表されました。この調査は、水道水中に含まれるPFOSおよびPFOAの検出状況を把握し、水質基準の見直しに活用することを目的として行われました。PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)およびPFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、環境汚染物質として知られ、その健康影響が懸念されています。この調査結果は、今後の水質管理や政策の方向性を考える上で重要な指針となります。
調査は、令和6年5月29日から9月30日にかけて実施され、水道事業者や専用水道の設置者に対して、水質検査の実施状況や検出結果に関する情報を収集しました。その結果、全国の水道事業における水質検査実施率は増加傾向にあり、令和6年度の時点で検査を実施した事業数は1,745事業となりました。特に注目すべき点として、PFOSおよびPFOAの暫定目標値(50ng/L)を超過した事業数は減少傾向にあり、令和6年度末には超過事業数がゼロとなりました。この結果は、全国的な水質改善の努力が成果を上げていることを示しています。
調査対象の専用水道においても同様に検査が行われ、対象8,177箇所のうち1,929箇所で水質検査が実施されました。その中で暫定目標値を超過した事例は42件と、全体の約2.2%に留まりました。これらの施設では、上水道への切り替えや井戸の取水停止などの対策が講じられています。さらに、暫定目標値超過が確認された専用水道の多くでは、活性炭などを用いた除去設備の導入やボトルウォーターの配布といった応急措置が取られ、健康リスクを最小限に抑える取り組みが行われています。
また、調査においては暫定目標値を下回る濃度でも、5ng/Lを超える検出が確認された施設数も報告されました。このような濃度は低いものの、継続的な水質監視が必要とされています。環境省と国土交通省は、これらの結果を基に水質管理目標のさらなる向上を目指し、水質基準の逐次改正に向けた議論を進めています。
今回の調査では、検査が未実施である理由も明らかになりました。その多くは、PFOSおよびPFOAが含まれる可能性が低いと判断されたことや、検査費用の負担が主な要因として挙げられました。これに対して政府は、地方自治体や水道事業者への支援を強化し、未検査事業への働きかけを継続する方針です。
今回の報告は、国内の水道水質管理の現状と課題を浮き彫りにし、さらなる改善に向けた基盤を提供しました。特に、PFOSおよびPFOAの検出状況が顕著に改善している点は、各事業者や自治体の努力が成果を上げた証といえます。一方で、未検査施設や低濃度検出地域への対応を含めたさらなる取り組みが求められています。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ