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2025年2月5日

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洋上風力発電の推進に向けた新たな方針とは?「一般海域における占用公募制度の運用指針」

「一般海域における占用公募制度の運用指針」を改訂しました(経産省)

経済産業省と国土交通省は、2025年1月29日、洋上風力発電事業者向けの公募制度に関する指針を改訂したことを発表した。この改訂は、世界的なインフレや円安といった経済環境の変化を受けても、日本国内での洋上風力発電プロジェクトを確実に進めるための措置として行われた。近年、再生可能エネルギーの普及が加速する中で、洋上風力発電は特に重要な役割を果たすと考えられている。しかし、国際的な経済状況の影響により、一部の国ではプロジェクトの中断や見直しが進んでおり、日本国内でも同様のリスクが懸念されていた。

このような状況を受け、政府は2024年9月から複数回にわたり合同会議を開催し、開発事業者や有識者から意見を収集した。その後、2024年11月29日から12月30日にかけてパブリックコメントを実施し、広く意見を募った上で、より実効性のある公募制度の運用指針へと改訂を行った。今回の改訂では、プロジェクトの確実な遂行を目的とし、リスク管理の強化、計画変更の明確化、価格評価基準の見直し、サイト調査方式の変更など、複数の点で制度の改善が図られている。

改訂において特に重視されたのは、事業のリスク管理に関する評価方法の見直しである。これまでの制度では、事業者ごとのリスク対策が十分でない場合、計画の遅延や中断につながる可能性があった。そこで、今回の改訂では、リスクシナリオへの対応策をより重点的に評価し、事業者が適切にリスクを管理できるようにする枠組みが導入された。また、主要設備の仕様変更に関する要件が整理され、風車や基礎構造物などの変更手続きが明確化されたことで、計画の柔軟性を確保しつつ、投資の確実性を向上させることができるようになった。

加えて、価格評価基準の見直しも行われた。これまでの制度では、事業者間の競争が過度に価格面に偏ることが指摘されていたが、今回の改訂では、競争力のある価格設定を促進しつつ、事業の持続可能性も確保するための調整が行われている。さらに、事業者ごとに個別に行われていたサイト調査についても、政府主導で海域の特性を調査する「セントラル方式」を基本とすることで、事業のリスクを低減させる仕組みが導入された。これにより、事業者が個別に調査を行う負担が軽減され、より効率的に事業計画を進めることが可能となる。

今回の改訂は、日本国内における洋上風力発電事業の円滑な推進に向けた重要な一歩といえる。政府は今後も市場の変化に応じた制度の見直しを行いながら、安定的な電源確保と再生可能エネルギーの拡大を進める方針である。洋上風力発電の導入拡大は、日本のエネルギー自給率の向上や脱炭素社会の実現に向けて欠かせない要素であり、今回の改訂によって、事業者がより安定した環境でプロジェクトを進められるようになることが期待されている。政府は今後も、迅速性評価の変更や保証金制度の見直し、価格調整スキームの導入といった具体的な施策を進めることで、公募制度のさらなる改善を図り、持続可能なエネルギー政策の実現を目指すとしている。

⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ

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