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2024年11月21日

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消費支出287,963円で実質1.1%減少!企業の採用担当者が注目すべき家計支出の現状

家計収支編(二人以上の世帯)2024年9月分(総務省)

2024年9月の日本の家計調査報告は、消費支出の現状や勤労者世帯の収支の状況を具体的な数値とともに詳細に示しており、現在の経済環境が家庭の経済活動に与える影響が浮き彫りになっています。この報告によれば、二人以上の世帯における月間消費支出額は1世帯あたり287,963円で、前年同月比で実質1.1%の減少、名目では1.8%の増加という結果が示されています。これは物価の上昇と実質的な家計支出の減少が同時に発生していることを示唆しており、実質ベースでの支出の減少が続くことで、家計の消費行動が抑制される状況が続いていると考えられます。

消費支出の内訳をさらに詳しく見ると、特定の支出項目において顕著な増加や減少が見られます。例えば、光熱費や教育費、被服及び履物などは支出が増加している項目であり、それぞれ前年同月比で8.5%(寄与度0.57)や5.1%(寄与度0.39)といった実質増加が報告されています。これは電力料金の上昇や教育関連の支出が増えていることが影響していると考えられ、生活の基礎的な費目に対する支出が増加していることが明らかです。一方で、自動車関連費用や交通・通信にかかる費用、保健医療などの支出は減少が目立っています。特に自動車関連費用は前年同月比で11.7%減少しており、実質ベースでの寄与度も-1.95という大きなマイナスとなっています。これはエネルギー価格の高騰や新車販売の低迷、車両維持費の増加などが影響している可能性があり、自動車関連の消費が家庭の負担となっていることを示唆しています。

さらに、勤労者世帯の収入に関する詳細も報告されています。9月の勤労者世帯の実収入は1世帯当たり493,942円で、前年同月比で名目1.3%の増加に対して実質ベースで1.6%の減少が見られ、家計に対する実質的な収入の低下が懸念されます。世帯主の収入も同様に減少しており、実質では前年同月比で2.5%減少(寄与度-1.92)と報告されています。これにより、家計における自由に使える可処分所得が減少し、消費行動が制約される要因となっています。また、平均消費性向(可処分所得に対する消費支出の割合)は、前月と比較して1.0ポイント上昇し、62.2%となっていますが、これは物価上昇による実質収入の減少が可処分所得の消費割合に影響を与えていると考えられます。

一方で、配偶者の収入は前年同月比で実質5.1%の増加を示しており、家計全体としては収入を補完する傾向が見られます。しかしながら、他の世帯員収入については前年同月比で14.6%の減少(寄与度-0.42)と大幅なマイナスが報告されており、家計の中で収入格差が生じていることがうかがえます。このような収支の状況において、勤労者世帯の支出の削減傾向が進む可能性があり、結果として消費支出が減少することで、経済全体に対する需要の低下が予想されます。

また、消費支出の分野別では、光熱・水道費の項目が特に目立っており、前年同月比で12か月ぶりに増加を記録しています。電気代や上下水道の料金が上昇していることが反映されており、エネルギー価格の上昇が家庭の消費支出に大きな影響を与えていることが読み取れます。さらに、食費においても、外食などの特定項目では前年同月比で3.4%の減少が見られ、家庭内での消費が抑えられる傾向が見られます。これにより、飲食関連産業やエネルギー関連企業が家庭の支出減少の影響を受け、業績に対する影響が広がる可能性が考えられます。

このように、日本における家計調査のデータは、物価の上昇とそれに伴う実質収入の減少が家庭の消費支出に与える影響を明らかにしており、企業の採用担当者がこのデータを参考に、労働市場の動向や人材需要に関する戦略を見直す契機となるでしょう。例えば、賃金の改善や労働条件の見直しが行われない場合、勤労者の消費意欲がさらに低下し、結果として国内経済の成長が鈍化するリスクがあります。このような経済環境の中で、企業はより多様な福利厚生制度や柔軟な働き方を提供することで、優秀な人材を引きつける方策が必要となるでしょう。

⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ

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