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2025年2月20日

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滋賀県 高校新卒者の求人倍率は2.92倍!求職者数の増加がもたらす企業の採用競争の変化とは?(令和6年9月末現在)

高校新卒者の求人・求職・就職内定状況(令和6年9月末現在)(滋賀労働局)

滋賀県における新規高等学校卒業予定者の就職市場は、令和6年9月末時点でのデータから、昨年と比較して変化が見られる。求人数は5,571人となり、前年同期の5,286人と比較して5.4%増加し、4年連続の増加傾向が続いている。一方で、求職者数は1,909人で前年同期の1,787人より6.8%増加しており、5年ぶりの増加となった。求人倍率は2.92倍で、前年の2.96倍からわずかに0.04ポイント低下したが、依然として過去2番目に高い水準を維持している。就職内定者数は1,363人で、前年同期比9.4%増加し、内定率は71.4%に達した。この数値は前年の69.7%より1.7ポイント上昇しており、高卒者の採用市場が活発であることを示している。

産業別の動向を見てみると、製造業の求人数は2,752人で、求人数全体の49.4%を占め、前年同期比で208人増(8.2%増)となった。特に輸送用機械器具製造業は332人の求人があり、前年同期の274人から21.2%増加している。また、電気機械器具製造業では217人の求人があり、前年の173人と比較して25.4%増加するなど、製造業全体での採用意欲の高さがうかがえる。一方、卸売業・小売業の求人数は559人となり、前年の459人から21.8%増加し、小売業の需要が拡大している。生活関連サービス業や娯楽業では40人増加(14.1%増)となり、人手不足感が強まっている業界で採用活動が活発化していることが分かる。

求職者数の推移を分析すると、1,909人という数値は過去3番目に少ない水準となっている。これは、高校新卒者の進学率が高まり、就職希望者が相対的に減少していることが影響していると考えられる。令和4年3月卒以降、2,000人を下回る傾向が続いており、企業側が新卒採用において優秀な人材を確保するためには、これまで以上に魅力的な雇用条件や福利厚生を提示する必要がある。さらに、求人倍率が高い状況が続く中で、企業間の人材獲得競争が激化しているため、企業側がいかに求職者にとって魅力的な職場であるかをアピールすることが採用成功の鍵となる。

就職内定率の上昇も注目すべき点である。令和7年3月卒業予定者の9月末時点の内定率は71.4%と、前年の69.7%から1.7ポイント上昇した。この上昇要因の一つとして考えられるのは、企業が早期に新卒採用活動を開始し、内定を出すタイミングが前倒しになっていることが挙げられる。また、滋賀労働局が提供する支援策も、内定率の向上に寄与していると考えられる。具体的には、ハローワークによる求人開拓の推進や、就職支援ナビゲーターを活用した個別の支援、さらには「就職相談会」の開催などが挙げられる。令和6年11月6日には、クサツエストピアホテルにて35社が参加する就職相談会が実施される予定であり、未内定者に対するフォローアップが強化されることが期待されている。

求人数の増加と求職者数の増加が同時に発生している状況において、企業がより良い人材を確保するためには、採用活動における工夫が求められる。特に、企業規模別の採用動向を見てみると、30~99人規模の企業では求人増加率が11.3%と高く、特に中小企業の採用意欲が強まっていることが分かる。一方で、大企業でも新卒採用への関心は高く、企業ごとの特徴を活かした採用戦略の策定が不可欠となる。また、企業が求職者にとって魅力的な選択肢となるためには、給与や労働条件の改善だけでなく、キャリアパスの提示や職場環境の向上など、長期的な成長を支援する取り組みが求められる。

さらに、業種ごとの採用競争を考えると、製造業が引き続き求人数の半数近くを占める一方で、情報通信業の求人数も前年の3人から7人へと133.3%増加し、IT系の職種への関心が高まっていることが分かる。また、運輸業・郵便業の求人数は291人で、前年の275人から5.8%増加し、物流分野での人手不足が続いていることを示している。医療・福祉業界では求人数が前年の390人から354人へと9.2%減少しており、業界内での採用計画の変化が見られる。

このように、滋賀県の高卒採用市場は全体的に活況を呈しており、求人数の増加や内定率の上昇が続いているものの、求職者数の伸びが限定的であるため、企業側にとっては採用の難易度が上がっているといえる。特に、求人倍率が2.92倍という高水準にある中で、採用活動の成功には戦略的なアプローチが求められる。具体的には、早期の採用活動の開始、求職者にとって魅力的な職場環境の整備、企業の強みを明確に打ち出す採用マーケティングの強化などが重要となる。企業が新卒採用市場で成功を収めるためには、従来の採用方法にとらわれず、新しい視点での採用戦略を立てる必要がある。

⇒ 詳しくは滋賀労働局のWEBサイトへ