労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 災害時の緊急物資輸送拠点の確保と海水面上昇への備えを進める港湾法改正案が政府方針に

2025年2月23日

労務・人事ニュース

災害時の緊急物資輸送拠点の確保と海水面上昇への備えを進める港湾法改正案が政府方針に

「港湾法等の一部を改正する法律案」を閣議決定 ~能登半島地震で顕在化した課題や海水面上昇等に対応~(国交省)

政府は2025年2月7日、「港湾法等の一部を改正する法律案」を閣議決定した。この改正案は、令和6年の能登半島地震で明らかになった課題や、海水面上昇などの気候変動に伴うリスクに対応するためのものだ。主な改正内容としては、災害時における港湾の緊急物資輸送拠点機能の確保、港湾管理者の技術職員不足に対する支援、洋上風力発電基地港湾の利用調整の仕組みの整備などが挙げられる。

今回の法改正の背景には、能登半島地震で浮き彫りになった災害時の港湾機能の脆弱性がある。災害発生時には、港湾が緊急物資輸送の拠点として重要な役割を果たすが、被害を受けた港湾施設の復旧が遅れると、支援物資の輸送に支障をきたす恐れがある。このため、港湾施設の迅速な復旧を可能にする制度の創設が求められていた。また、気候変動による海水面の上昇や異常気象の影響を受け、港湾の浸水リスクが増大していることも大きな課題となっている。

改正案の具体的な内容として、まず、災害時における港湾機能の確保を強化するための措置が盛り込まれた。例えば、港湾施設の応急復旧時に他者の石材などを活用できる制度の創設、港湾管理者が災害時に民間の港湾施設を使用できるようにする協定制度の導入、倒壊の危険がある港湾施設に対する勧告制度の拡充などが含まれる。また、国が港湾管理者に対して支援船舶の入港需要などの情報提供を行うことも明記された。

次に、海水面上昇に対応するための施策として、官民が協力して港湾の防護を強化する枠組みが新たに導入される。具体的には、護岸の嵩上げやコンテナの固定化など、企業と行政が連携して気候変動に備えるための計画・協議会・協定制度が創設される。

さらに、技術職員の不足が課題となっている港湾管理者を支援するため、国が港湾工事を代行する仕組みが新たに設けられる。港湾の適切な機能を維持するため、港湾管理者の要請に基づき、高度な技術を要する港湾工事を国が代行する制度や、国が工事に必要な権限を代行する措置が含まれる。

また、再生可能エネルギーの導入促進に向け、洋上風力発電の基地港湾の円滑な利用を確保するための仕組みも整備される。風力発電施設の建設・運営に際し、一時的な港湾利用の調整を行うための協議会制度を創設することで、スムーズな運用を目指す。

今回の改正案は、災害時の対応力強化や気候変動への備えを進めるとともに、港湾の機能維持と再生可能エネルギーの普及を両立させる狙いがある。政府は今後、国会での審議を経て法案の成立を目指す方針だ。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ