2024年10月8日
労務・人事ニュース
熊本県の労働市場、令和6年8月の有効求人倍率1.23倍、フルタイム求人増加の兆し
一般職業紹介状況 (令和6年8月分)(熊本労働局)
熊本県の労働市場は、近年さまざまな変動を見せています。令和6年8月時点の統計によると、有効求人倍率は1.23倍で、前月比で0.01ポイント上昇しました。この有効求人倍率は、求職者1人に対して1.23件の求人が存在することを意味し、県内の雇用需要がやや高まりつつあることを示しています。ただし、完全失業率は全国平均と同様に2.5%で、雇用状況は全国的なトレンドに沿った動きを見せています。
熊本県の有効求人数は、前年同月比で減少傾向にあります。8月の有効求人数は34,563人で、2か月連続で減少しました。特に新規求人数は前年同月比で9.9%減少し、18か月連続で減少しています。これに伴い、新規求人倍率も2.26倍に上昇し、前月比で0.23ポイントの増加が見られました。これは、企業が新たな従業員を求める意欲を持ちつつも、全体の求人は縮小していることを示しています。
業種別に見た場合、建設業、製造業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業、医療・福祉など、主要な産業全てで求人は前年同月比で減少しました。特に卸売業・小売業の減少幅は26.6%と大きく、宿泊業・飲食サービス業も22.9%減少しています。これらの産業は、新型コロナウイルスの影響を受けた観光業やサービス業の回復が思わしくないことが背景にあると考えられます。また、製造業においても12.7%の減少が見られ、県内の産業全体での雇用減少が顕著です。
一方、求職者の動向に目を向けると、新規求職申込件数は前年同月比9.9%減の4,803件で、2か月ぶりに減少しました。特に一般フルタイムの求職者数は10.1%減少し、これは2か月ぶりの減少となっています。求職者の多くは離職者であり、前年同月比で11.6%減少しました。特に自己都合での離職者が13.6%減少し、事業主都合での離職者も4.9%減少しています。
このような状況の中、就職件数も前年同月比で20.4%減少し、1,321件となりました。これに伴い、就職率も前年同月比で3.6ポイント減少し、27.5%にとどまっています。特に、新規求職者に対する就職率は低下しており、厳しい労働市場が反映されています。
さらに、新規求職者の状況を見ると、一般フルタイムの求職申込件数は前年同月比で10.1%減少し、2,980件となっています。一般パートタイムの求職申込件数も9.6%減少し、1,823件となっています。また、在職中の求職者数も15.2%減少し、離職者も11.6%減少しています。これは、雇用環境が依然として厳しく、職を探す労働者の数が減少していることを示しています。
就職状況においても、新規求職者に対する就職率は低下しており、特に離職者の中でも自己都合離職者の減少が顕著です。これは、働く環境や待遇の変化に伴い、自己都合での転職を控える動きがあることを示している可能性があります。
労働市場全体として、熊本県は雇用の供給と需要のバランスが変化しつつあります。求人数は減少している一方で、求職者数も減少しており、求職者1人あたりの求人倍率は微増しています。この状況は、県内の労働者が新たな職場を探す際に、厳しい選択を迫られていることを示しています。また、企業側も新たな人材を採用する際に、従来の雇用形態や条件に依存せず、新たな働き方や柔軟な雇用形態を模索する必要性が高まっています。
令和6年8月の統計によると、県内全体で新規求人倍率は2.26倍であり、特にフルタイムの求人倍率が高いことがわかります。これは、企業がフルタイムの従業員を求める動きが依然として強いことを示しており、今後の雇用情勢を占う上で重要な指標となります。
熊本県の労働市場は、このように複雑な状況下にありますが、今後の経済回復や産業再編に伴い、さらなる変化が予想されます。特に、観光業やサービス業など、コロナ禍で大きな影響を受けた産業がどのように回復するかが注目されています。また、製造業や建設業など、県内の主要産業における人材不足の解消も課題となっており、これらの産業への対策が求められています。
以上のデータから、熊本県の労働市場は依然として厳しい状況にあるものの、回復への兆しも見られると考えられます。特に、求人倍率の上昇は、企業側が新たな人材を求める動きを反映しており、今後の雇用拡大が期待されます。ただし、就職率の低下や求職者数の減少は、依然として解決すべき課題として残っており、これに対する労働市場の改善策が必要です。
⇒ 詳しくは熊本労働局のWEBサイトへ