2024年12月4日
労務・人事ニュース
物価上昇と景気リスクを乗り越えるために求められる下請法改正
(令和6年11月15日)下請取引の適正化について(公取委員)
令和6年11月15日、公正取引委員会と経済産業省は、下請取引の適正化に関する新たな取り組みを発表しました。この施策は、下請代金支払遅延等防止法、いわゆる下請法の遵守を強化し、普及啓発活動を推進するものです。また、昨年策定された「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」をもとに、事業者の取り組み状況をフォローアップするため、令和6年5月から実施している「令和6年度価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査」に基づき、価格転嫁と取引適正化の具体策が進められています。
近年、物価上昇や中東地域の地政学的リスク、金融市場の変動など、国内外の経済環境の不安定さが中小企業や小規模事業者に深刻な影響を与えています。これら外的要因による景気の下押し圧力が継続する中、年末に向けて資金需要が高まる状況下では、下請事業者の資金繰りの悪化が懸念されています。特に、中小企業や小規模事業者は資金繰りの難しさに直面しており、親事業者による迅速かつ現金での支払いが求められる状況です。
こうした背景を受け、公正取引委員会と経済産業省は、親事業者に対し、下請事業者との適正な取引を進めるよう強く要請しました。具体的には、下請事業者への早期支払いや現金決済の徹底、さらに価格交渉と価格転嫁を積極的に行うことの重要性を強調しています。また、不当なしわ寄せを避けるため、親事業者がその役割を果たし、取引の適正化を推進することが求められています。
この要請は、公正取引委員会委員長と経済産業大臣の連名で作成された文書を通じ、約1,700の関係事業者団体に周知されました。これにより、下請取引の環境改善を図り、中小企業や小規模事業者が安定した経営基盤を築けるよう、広範な取り組みが期待されています。今後も、これらの施策を通じて下請事業者が公正な取引条件のもとで事業を継続できる環境が整備されることを目指しています。
⇒ 詳しくは公正取引委員会のWEBサイトへ