2025年3月3日
労務・人事ニュース
物流効率化のカギは荷待ち時間の削減!新省令が定める具体策とは?
流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令・告示が公布されました(国交省)
令和7年2月18日、国土交通省は、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」及び「貨物自動車運送事業法」の一部を改正する法律の施行に伴い、関係する省令・告示を公布した。この改正は、物流業界の効率化と持続可能な輸送の実現を目的としており、特にトラックドライバーの労働環境改善や輸送の効率化を図るための措置が含まれている。これにより、荷主や物流事業者には、物流効率化に向けた具体的な取り組みが求められることとなる。
改正法の一部は、令和7年4月1日から施行される予定であり、物流業界における構造的な課題に対応するための新たなルールが適用される。具体的には、荷主や貨物自動車運送事業者、さらには関連事業者に対し、物流効率化のために必要な措置を講じる努力義務が課せられることになる。これに伴い、国土交通省は、荷主および物流事業者が遵守すべき基準を明確にするため、複数の省令と告示を制定した。
まず、「国土交通省関係流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律施行規則」の改正により、荷待ち時間や荷役時間の算定方法が明確化された。これにより、物流の効率性を高めるための指標が示され、適正な運行管理が促進されることが期待されている。また、「貨物自動車運送事業者等の貨物自動車運送役務の持続可能な提供の確保に資する運転者の運送及び荷役等の効率化に関する判断の基準を定める省令」によって、貨物自動車運送事業者が取り組むべき具体的な措置が規定された。
さらに、「貨物自動車関連事業者の貨物自動車運送役務の持続可能な提供の確保に資する運転者の運送及び荷役等の効率化に関する判断の基準を定める省令」では、関連事業者に対する取り組みの指針が示されたほか、「荷主の貨物自動車運送役務の持続可能な提供の確保に資する運転者の運送及び荷役等の効率化に関する判断の基準を定める命令」によって、荷主が果たすべき役割が明確化された。加えて、農林水産省および経済産業省と共管する「貨物自動車運送役務の持続可能な提供の確保に資する運転者の運送及び荷役等の効率化の推進に関する基本的な方針」が告示され、物流効率化の意義と目標が定められた。
この一連の改正の背景には、日本の物流業界が直面する深刻な課題がある。特に、トラックドライバーの労働環境の厳しさや、長時間労働の常態化が問題視されている。国土交通省の調査によると、日本国内のトラックドライバーの平均労働時間は年間2,500時間を超え、一般的な労働者と比較して大幅に長い状況にある。これに加え、2024年問題として指摘される労働時間の上限規制の影響により、物流業界全体での人手不足が深刻化することが懸念されている。このため、国としても物流の効率化を進め、業務の負担を軽減することが不可欠となっている。
改正法の施行により、物流業界には具体的な改善策が求められることになる。例えば、荷主と運送事業者の間で適正な契約を結び、荷待ち時間の短縮を実現することや、輸送の効率化に向けたIT技術の導入が促進される。また、モーダルシフトの推進により、鉄道や海運を活用した効率的な輸送網の整備が進められることが期待されている。これにより、トラックドライバーの労働負担を軽減し、物流全体の生産性向上を図ることが可能となる。
国土交通省は、今回の法改正により、物流業界全体の持続可能な成長を支援する方針を打ち出している。特に、荷主や運送事業者に対しては、単なるコスト削減ではなく、長期的な視点での業務効率化が求められることとなる。加えて、国としても、物流デジタル化の推進や、物流拠点の集約化を進めることで、業界の構造改革を後押しする考えだ。
今回の省令・告示の施行により、物流事業者や荷主は、新たなルールに対応するための準備を進める必要がある。特に、荷待ち時間や荷役時間の適正な管理、輸送の効率化、運転者の労働環境改善に向けた取り組みが不可欠となる。物流業界の企業にとっては、今回の改正を契機に、自社の物流戦略を見直し、より持続可能な輸送体制を構築することが求められる。
政府としても、これらの施策を着実に実行し、物流業界の健全な成長を促進する方針を示している。今後も、物流の効率化やトラックドライバーの労働環境改善に向けた取り組みが続けられることになるだろう。国土交通省は、関係業界との連携を強化しながら、実効性のある施策を推進していく考えであり、物流業界全体としても、この変革に積極的に対応していくことが求められる。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ