2024年12月19日
労務・人事ニュース
特定建設業許可の新基準、下請代金の下限を現行4,500万円から5,000万円に引き上げる理由とは
建設業の各種金額要件や技術検定の受検手数料を見直します~「建設業法施行令及び国立大学法人法施行令の一部を改正する政令」を閣議決定~(国交省)
令和6年12月6日、物価と人件費の高騰に対応するため、不動産・建設経済局建設業課は「建設業法施行令及び国立大学法人法施行令の一部を改正する政令」を閣議決定しました。この改正は、建設業界における金額要件の見直しや技術検定の受検手数料の改定を含み、建設業界の実情に即した新しい基準を設定するものです。
改正の背景には、近年急速に進んだ建設工事費の上昇があります。この影響により、特定建設業許可を含む各種金額要件の調整が必要とされました。これに加えて、建設技術検定の受検手数料も人件費や運営コストの上昇に伴い見直されることとなりました。
まず、特定建設業許可に関連する金額要件について、新たな基準が設定されました。具体的には、下請代金額の下限が現行の4,500万円(建築工事業の場合7,000万円)から5,000万円(同8,000万円)に引き上げられました。また、施工体制台帳などの作成を要する下請代金額の下限も同様に改定されました。さらに、専任の監理技術者を必要とする請負代金額の下限についても、4,000万円(建築一式工事の場合8,000万円)から4,500万円(同9,000万円)へと引き上げられました。これらの改定は、建設工事の現場運営における透明性を高め、責任体制を明確化することを目的としています。
技術検定に関しては、受検手数料が全体的に増額されました。一例として、建設機械の1級試験では一次試験の手数料が14,700円から19,700円、二次試験が38,700円から57,300円に引き上げられました。その他の分野でも、土木や建築、電気工事などの検定手数料が軒並み上昇しています。この改定は、技術者育成のための検定実施体制の維持・強化を目的としており、令和7年度に実施される検定から適用される予定です。
今回の改正のスケジュールとして、金額要件の見直しについては令和7年2月1日、受検手数料の改定については令和7年1月1日から施行されることが決まっています。このタイミングは、業界関係者に十分な準備期間を確保するためと考えられます。
建設業界では、昨今の資材費や人件費の高騰に対応するため、効率的な運営が求められています。この背景のもと、今回の改正は適切な経済条件を設定することで業界全体の安定化を図る重要な一歩とされています。また、技術検定の手数料見直しにより、試験運営の質の向上や技術者のスキルアップを促進することも期待されています。
今後の展開として、改正内容に基づいた新たな基準の運用が円滑に行われるためには、建設業界全体での対応が求められます。関係者は、これらの変更に適応し、必要な手続きや体制整備を進める必要があります。特に、技術検定の受験者や企業にとって、改定された受検手数料への対応は早急に準備すべき課題となるでしょう。
また、今回の改正により、特定建設業の許可取得や現場管理における基準が引き上げられることで、建設現場における責任の所在が明確になるとともに、品質の向上が期待されています。一方で、企業規模によっては改定後の基準に適応するためのコスト負担が増加することが予想されるため、中小企業向けの支援策や緩和措置が求められる可能性もあります。
建設業界の持続的な発展のためには、国と企業が協力して新しい基準に基づく環境整備を進めていくことが必要不可欠です。今回の改正は、建設業界全体にとって重要な転換点となり得るものであり、業界関係者には積極的な情報収集と適応が求められます。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ