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2024年11月29日

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特定技術分野が企業に与える影響、令和7年の規定改正も視野に

国際特許分類の改正に伴う経済安全保障推進法施行令の改正(令和6年11月15日閣議決定)(内閣府)

令和6年5月1日から施行される特許出願の非公開制度は、経済安全保障推進法の枠組みで導入され、国家および国民の安全を脅かす可能性のある技術の特許出願を非公開とする手続きが規定されています。この制度は、特定の発明に対して「保全指定」を行い、出願公開や特許査定を含むすべての特許手続きを留保することで、該当する技術が不適切に公開されるリスクを防止します。さらに、保全指定の対象となった特許出願については、出願の取り下げやその技術の実施も原則として禁止されます。

対象技術は政令で定められる「特定技術分野」に該当し、その中でも特に影響が大きい分野については「付加要件」を満たす場合に限定されます。これにより、国家安全保障に重大な影響を与える可能性のある発明を特定し、適切な管理の下で保全審査を実施する仕組みが構築されています。

保全審査に付される技術分野には、航空機の隠ぺい技術や無人航空機の自律制御技術、潜水艦や宇宙航行体に関する技術、さらには核関連技術や量子ドット・半導体に関する先端技術が含まれます。これらは、日本の安全保障や産業発展において極めて重要な要素を持つ技術です。

例えば、宇宙航行体の熱保護や隕石検知技術、潜水船の攻撃・防護装置配置技術などは、国家の安全保障だけでなく、国際競争力の確保にも寄与する可能性があります。また、スクラムジェットエンジンや固体燃料ロケットエンジンといった航空技術は、防衛分野での活用が想定され、これらの技術を適切に管理することが求められます。

制度の施行に伴い、特許庁長官は特定技術分野に該当する特許出願を精査し、必要に応じて内閣総理大臣に書類を送付します。その後、総理大臣は該当する発明が国家安全保障にとってどのような影響を及ぼすかを判断し、保全審査を行います。このプロセスにより、技術の不適切な公開を防ぎつつ、産業の発展を妨げないよう慎重に対応します。

なお、この制度の導入に際して、特許出願者には適切な管理措置が求められます。具体的には、該当する技術を扱う企業や研究機関は、制度の適用対象となる可能性がある技術を把握し、保全審査に備えた準備を進める必要があります。制度開始後は、特定技術分野および付加要件に該当するか否かの確認が重要となるため、技術開発の段階から制度に対応した管理体制の構築が求められます。

また、令和7年1月1日には国際特許分類が改正され、特定技術分野に関連する規定も改訂される予定です。これにより、新たな技術分野の追加や既存分類の更新が行われるため、出願者は引き続き最新の情報を確認し、適切な対応を講じることが求められます。

制度の詳細については、経済産業省が提供するガイドラインや特定技術分野の概要に基づき、企業や研究者が具体的な対応策を講じることが重要です。これにより、技術開発の自由度を保ちながら、国家安全保障とのバランスを図ることが可能となります。

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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