2025年2月23日
労務・人事ニュース
生成AIと半導体産業を支える新たな法改正が閣議決定!計算需要の増大に対応する支援策とは
「情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されました(経産省)
2025年2月7日、政府は「情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定し、現在開会中の第217回通常国会に提出することを発表した。この改正案は、生成AIの利活用が急速に拡大し、それに伴う計算需要が飛躍的に増加する現状に対応するため、半導体やデータセンターなどのインフラを強化し、ソフトウェアとハードウェアの両面での高度化を促進することを目的としている。さらに、デジタル技術の発展を支える人材を育成するための具体的な措置も盛り込まれており、今後のAIおよび半導体産業の成長を支援する体制を整える狙いがある。
本改正案では、特に半導体の安定的な生産を支援するための措置が重要な要素となっている。指定高速情報処理用半導体の生産体制を強化するため、必要な資金の出資や施設・設備の提供、さらには資金借入に関する債務保証を行うことが新たに規定された。これらの支援措置を受ける事業者は公募によって選定され、その業務は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が担うこととなる。また、情報処理サービスを提供する企業が、高速で大量の情報処理が可能な設備を導入できるよう、IPAが資金調達に関する債務保証を行うことも新たな取り組みとして加えられた。加えて、情報処理分野の専門人材を養成し、業界全体の技術レベルを底上げするための支援策も強化される。
政府は、2025年度から2030年度にかけて、先端的な半導体の生産安定化やAI技術の発展を支える施策に必要な財源を確保するため、エネルギー対策特別会計を活用し、公債を発行することができるようにする方針を打ち出した。この公債の償還財源として、財政投融資特別会計の投資勘定からエネルギー対策特別会計に新設する勘定へ繰り入れることができる仕組みが整備される。この措置により、財源の安定的な確保が可能となり、半導体やAI分野における大規模な官民投資が誘発されることが期待されている。
さらに、本改正案では特別会計に関する法律の一部も改正されることとなった。エネルギー対策特別会計の中に新たに「先端半導体・人工知能関連技術勘定」を設け、半導体およびAI関連技術の開発を支援するための財源管理を明確化する。この新設勘定を通じて、IPAに対する出資金や関連事業への補助金を適切に管理し、AI技術の発展を促進する仕組みが整備される。また、先端半導体やAI関連技術の推進に必要な財源を確保するため、エネルギー需給勘定や一般会計から新設勘定へ資金を繰り入れることが可能となり、これによって長期的な産業支援が実現すると見込まれている。
この改正により、急速に進化するAI技術と、それを支える半導体産業の競争力を高める環境が整えられることになる。生成AIの利活用が進む中で、高度な計算処理を支えるインフラの強化は不可欠であり、そのための設備投資や資金調達の支援が強化されることは、日本のデジタル産業全体にとって大きな意義を持つ。また、国内の半導体生産を安定させることで、海外依存を減らし、技術的な自主性を確保することも目的の一つである。加えて、AI技術の発展を担うデジタル人材の育成にも注力し、情報処理技術者の専門性向上を支援することが、新たな成長戦略の一環として位置付けられている。
今回の法改正が実現すれば、日本国内の半導体産業およびAI技術分野に対する支援がさらに強化され、国際競争力の向上につながることが期待される。政府は、官民連携による大規模な投資を促進し、持続的な産業成長を実現するための基盤整備を進める考えであり、本改正案の国会審議の行方に注目が集まる。
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