2024年8月11日
労務・人事ニュース
生成AI利用企業は17.3%、59.9%が情報収集に活用、しかし人材不足が課題
帝国データバンク「生成AIの活用状況調査」(2024年8月1日)
生成AIの活用状況について、帝国データバンクが実施した調査結果が注目を集めています。この調査は、2024年6月14日から7月5日にかけて行われ、インターネットを通じて4,705社の企業から有効な回答が得られました。企業の属性分析には、147万社を収録する企業概要ファイルCOSMOS2が使用され、調査の信頼性を高めています。
今回の調査で明らかになったのは、生成AIの活用がまだ限定的であるという現状です。全体の17.3%の企業が生成AIを何らかの形で活用していると回答しました。そのうち、約9割の企業が生成AIの導入による一定の効果を実感していることが分かりましたが、依然として活用が進んでいない企業が多数を占めています。
生成AIの具体的な活用用途については、情報収集が最も多く、59.9%の企業がこの目的で利用していると回答しました。この他にも、生成AIは生産性の向上や業務効率化の手段として注目されていますが、その導入と運用に際しては、さまざまな課題も浮き彫りになっています。
特に注目すべきは、生成AIを推進する体制についてです。調査によると、企業の半数以上が生成AIの推進を内製化していますが、従業員数が多い企業ほど内製化の割合が低くなる傾向が見られました。これは、規模が大きい企業ほど、専門的な知識やスキルを持つ人材の確保や、複雑な業務プロセスへの対応が求められるためと考えられます。
また、生成AIに対する理解の度合いについても、企業の中でギャップが存在することが指摘されています。特に、経営者と一般社員の間での理解度の差が顕著であり、生成AIの導入や活用に向けた全社的な取り組みには、このギャップを埋めるためのコミュニケーションや教育が必要とされています。
さらに、生成AIの利用に際しては、企業の方針やガイドラインの策定が重要な課題として挙げられています。調査結果によれば、5割以上の企業がガイドラインの策定に前向きな姿勢を示している一方で、実際に策定を完了している企業はまだ少数派です。ガイドライン策定が進まない背景には、生成AIの運用に関する人材やノウハウの不足が大きく影響していると考えられます。
今回の調査では、生成AIの運用に関して「人材・ノウハウの不足」が54.1%と最も大きな懸念として挙げられています。企業が生成AIを効果的に活用するためには、技術的な知識やスキルを持つ人材の育成が急務であり、さらに実践的なノウハウの蓄積も求められます。この課題に対して、多くの企業がどのように対応していくのかが、今後の生成AI活用の成否を左右する要素となるでしょう。
以上のように、生成AIの導入は一部の企業で進んでいるものの、全体としてはまだ課題が多く残されています。企業が生成AIを活用して競争力を高めるためには、人材育成、ガイドラインの整備、そして経営層と従業員との間の意識統一が不可欠です。今後、これらの課題がどのように解決されていくのか、引き続き注視していく必要があります。
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