2025年2月22日
労務・人事ニュース
生活保護受給者数200万人(被保護者調査 令和6年11月分概数)
被保護者調査(令和6年11月分概数)(厚労省)
厚生労働省が発表した最新の生活保護受給者調査(令和6年11月分概数)によると、全国の被保護実人員数は2,007,989人となり、前年同月と比較して14,416人減少した。これは0.7%の減少に相当し、引き続き生活保護受給者の数が減少傾向にあることを示している。また、被保護実世帯数も1,651,995世帯となり、前年同月比で1,007世帯減少(0.1%減)したことが報告されている。
一方で、生活保護の申請件数は22,320件となり、前年同月と比較すると348件(1.6%)増加した。この増加は、経済状況の影響や雇用環境の変化などが要因として考えられる。保護開始世帯数は19,650世帯で、前年同月比166世帯減少(0.8%減)となっており、新規の保護開始数が一定数存在する一方で、全体的には減少傾向が続いている。
生活保護の被保護実人員数の推移を詳しく見ると、前月比でも減少しており、令和6年11月の2,007,989人に対し、前月は2,009,447人で1,458人の減少となっている。保護率(人口百人当たりの割合)も1.63%から1.62%へとわずかに低下している。
世帯の内訳をみると、高齢者世帯の割合が最も多く、全体の55.0%を占めている。高齢者世帯は903,968世帯で、前年同月から3,456世帯(0.4%)減少した。次いで多いのが単身世帯で841,298世帯(51.2%)を占めており、前年同月比407世帯減少(0.0%減)となった。母子世帯は62,471世帯で、前年同月比2,695世帯減少(4.1%減)となり、比較的大きな減少幅を示している。一方で、障害者・傷病者世帯は414,582世帯となり、前年同月比で2,909世帯(0.7%)増加しており、この層での生活保護受給者数が増加傾向にあることが分かる。
保護申請件数の増加は、社会経済状況の変化が影響している可能性がある。特に物価の上昇や雇用の不安定さが要因となり、一時的に収入が減少した世帯が申請を増やした可能性が考えられる。一方で、保護開始世帯数の減少は、生活保護の厳格な運用や、行政による就労支援の強化が影響している可能性もある。
また、生活保護世帯の構成に目を向けると、二人以上の世帯の割合は3.8%と少なく、多くの世帯が単身または高齢者によるものとなっている。特に母子世帯の減少が顕著であり、これは就労支援や子育て支援の充実が影響している可能性がある。
このデータから、生活保護受給者の減少傾向が続いているものの、経済状況の変化により申請件数が増加していることが分かる。特に障害者・傷病者世帯での増加がみられ、高齢化が進む中で、今後も福祉政策の充実が求められる状況が続くと考えられる。
今後の施策としては、高齢者世帯や障害者世帯への支援を強化するとともに、働ける世帯に対する就労支援をより充実させることが求められる。また、物価の上昇が続く中で、最低生活費の見直しや、生活保護基準の適正な運用も重要な課題となるだろう。さらに、行政の支援体制の強化によって、申請者が迅速に必要な支援を受けられるようにすることも重要なポイントとなる。
こうしたデータを踏まえると、企業の採用担当者にとっても、生活保護受給者の動向は重要な指標となり得る。特に、就労支援が進んでいる背景から、雇用市場への新規参入者が増える可能性も考えられる。企業としては、生活保護を受けていた人々が労働市場に戻りやすい環境を整えることが、社会的な責任としても重要な取り組みになるだろう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ