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2024年7月21日

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生活保護基準と最低賃金の最新データから見る地域別乖離額の変動

令和6年度中央最低賃金審議会目安に関する小委員会(第2回)資料 資料No.2_生活保護と最低賃金(厚労省)

令和5年度における日本の最低賃金と生活保護の関係についての考察は、経済政策の重要な要素の一つです。最低賃金は労働者の生活を支える基本的な収入源であり、生活保護は社会的なセーフティネットとして機能します。これらの制度がどのように相互作用し、どの程度の乖離があるかを理解することは、社会福祉政策の改善に繋がります。

まず、生活保護の基準について説明します。生活保護の生活扶助基準は、1類費と2類費、そして期末一時扶助費を含んだものです。これに住宅扶助を加えた金額が、生活保護の総額として設定されます。生活扶助基準は、個人の年齢や家族構成、地域の物価水準などに基づいて算出され、必要最低限の生活を送るための基準として機能します。この基準は、季節ごとの特別な支出(例えば冬季加算)も含めて計算されます。

一方、最低賃金は労働者が一時間働いた際に受け取るべき最低限の報酬を定めたもので、各都道府県ごとに設定されています。最低賃金は、労働市場の状況や物価水準、生活費の変動などを考慮して毎年改定されます。令和5年度の最低賃金額は、労働者が一ヶ月に173.8時間働いた場合の総収入に税金や社会保険料を控除した後の可処分所得を基に計算されています。

生活保護と最低賃金の間の乖離額を分析すると、地域ごとに異なる結果が見られます。例えば、東京都や神奈川県、大阪府といった大都市では、最低賃金が比較的高い一方で、生活保護水準との乖離は他の地域と比べて小さい傾向にあります。これは、都市部では生活費が高いため、生活保護の基準も高く設定されているためです。

一方、地方に目を向けると、最低賃金が低く設定されている地域では、生活保護の基準との差が大きくなる傾向があります。例えば、青森県や岩手県、秋田県などの地方では、最低賃金と生活保護基準の乖離額が大きく、この乖離を埋めるための政策が必要とされています。

具体的な数値を見ると、例えば東京都の令和4年度のデータに基づく乖離額は195円でしたが、令和5年度の最低賃金引上げによってこの乖離額は236円となり、その変動要因としては最低賃金の引上げによる影響が41円、可処分所得比率の変動による影響が10円などが挙げられます。他の地域でも同様に、最低賃金の引上げや可処分所得比率の変動、生活扶助基準の見直しなどが乖離額の変動要因として分析されています。

このように、最低賃金と生活保護の間の乖離額は、労働市場の動向や政策の変更によって変動します。この乖離を適切に管理するためには、定期的な見直しとともに、各地域の経済状況や物価水準に応じた柔軟な対応が求められます。

また、最低賃金の引上げは、労働者の生活を直接的に改善する効果がありますが、同時に企業の負担も増加します。このバランスを取るためには、企業への支援策や雇用環境の整備も重要です。例えば、政府が企業に対して人件費の一部を補助する制度や、労働者のスキルアップを支援するプログラムを提供することが考えられます。

一方、生活保護の受給者に対しては、自立支援プログラムの充実が求められます。例えば、就労支援や職業訓練、メンタルヘルスケアなど、多角的なサポートが必要です。これにより、生活保護から脱却し、安定した収入を得ることができるようになります。

参考:資料No.2_生活保護と最低賃金

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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