労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 生活保護申請が前年同月比9.6%増(被保護者調査 令和7年1月分概数)

2025年4月22日

労務・人事ニュース

生活保護申請が前年同月比9.6%増(被保護者調査 令和7年1月分概数)

Sponsored by 求人ボックス

被保護者調査(令和7年1月分概数)(厚労省)

令和7年1月における生活保護の被保護者に関する調査結果が公表され、全国の生活保護に関する実態が改めて明らかになりました。今回の調査は厚生労働省によって実施されたもので、生活保護の実人員数や実世帯数、申請件数および保護開始世帯数に関する詳細なデータがまとめられています。生活保護制度は、経済的に困窮している人々に最低限度の生活を保障するために設けられた重要な制度であり、その動向は福祉行政の方向性を示す重要な指標でもあります。

まず、生活保護を受けている人の実人員数は、令和7年1月時点で2,004,559人となり、前年同月と比較して16,242人の減少、率にして0.8%の減となっています。これは引き続き生活保護受給者数が減少傾向にあることを示しており、社会全体の景気回復や就労支援策の浸透といった背景があると考えられます。一方で、前月と比べると2,805人減少しており、月単位で見ても引き続きわずかながら減少傾向が継続していることがわかります。

また、生活保護を受けている世帯の数は1,650,501世帯であり、前年同月比で1,659世帯、率にして0.1%の減少となっています。世帯数の減少率は人員数ほどではないものの、こちらも安定的な減少傾向が続いています。このことは、複数人世帯よりも単身世帯が多いという現状を背景にしていると考えられます。

生活保護を申請する件数については、22,085件となっており、前年同月から1,934件の増加、率にして9.6%の増加となっています。保護開始世帯数も17,224世帯と、前年同月比で728世帯増加し、4.4%の伸びを示しています。これは生活保護に対する必要性が依然として高い水準にあること、また新規で生活困窮に至る世帯が一定数存在していることを意味しています。特に申請件数の大幅な増加は、経済的に不安定な状況に置かれている人々が増えている可能性を示唆しており、今後の経済動向や雇用状況の変化に伴う影響について注視が必要です。

次に世帯類型別の内訳に目を向けると、全体で1,643,761世帯が生活保護を受けており、その中でも高齢者世帯が901,659世帯を占め、構成比率は54.9%となっています。これは高齢化社会の進展とともに、年金などの公的年金制度だけでは生活が成り立たない高齢者が増えている実情を如実に表しています。高齢者世帯数は前年同月比で3,665世帯減少し、0.4%のマイナスとなっています。

単身世帯は839,565世帯で全体の51.1%を占め、こちらもわずかに0.1%の減少となっています。単身者の生活保護受給者が過半数を超えている状況は、都市部を中心に、孤立や就労困難など複合的な要因で経済的に困窮している人が多いことを物語っています。また、2人以上の世帯は62,094世帯で構成割合としては3.8%にとどまっており、前年同月からは2,964世帯の減少、率にして4.6%減という顕著な減少が見られます。

母子世帯に関しては62,321世帯で、全体の3.8%を占めていますが、こちらも前年同月比で3,143世帯減少し、4.8%の減となっています。これは子育て支援策の充実や母子家庭向けの支援制度が功を奏している可能性がある一方で、貧困から脱するまでの支援が引き続き求められていることも事実です。

一方で、障害者や傷病者が属する世帯は全体で415,600世帯となっており、前年同月比で2,558世帯の増加、率にして0.6%の増加という結果が出ています。こちらは高齢者の増加や精神・身体障害者の生活支援ニーズの高まりが反映されており、制度上の受け皿として生活保護が担う役割の一端が強調されています。

その他の世帯としては262,005世帯が該当し、構成比率は16.0%、前年同月比では2,074世帯増加し、0.8%の増加となっています。生活保護を受ける理由が多様化しており、単純な類型で分類できないケースも多いことが、こうした数字からも見て取れます。

今回の調査から明らかになったことは、生活保護の必要性自体は今なお非常に高いという現状です。人員数や世帯数においては減少傾向が見られる一方で、新たに生活困窮に至るケースも増えており、社会全体の経済状況や福祉制度のあり方が問われています。特に注目すべきは、申請件数と開始世帯数の増加です。これは生活保護の制度を適切に周知し、必要な支援を迅速に届ける体制の整備が引き続き求められていることを示しています。

今後、福祉行政としては、高齢者や障害者を中心とした支援の拡充、若年層や母子世帯への支援強化、さらには生活保護からの自立を促すための就労支援施策のさらなる推進が求められるでしょう。人口構造の変化とともに生活保護の受給者層も変化しており、時代に即した制度設計が不可欠です。行政機関だけでなく、地域社会や民間団体との連携も鍵を握ります。生活保護を受けることが社会的に不利とされないような理解と支援が必要ですし、制度そのものの透明性や公正性も今後一層問われてくることでしょう。

企業の採用担当者や人事関係者にとっても、こうした調査結果は重要な意味を持ちます。特に地域ごとの受給状況や年齢層の傾向を把握することで、雇用政策や社内福祉制度の見直しにも役立つ可能性があります。労働市場における多様な人材確保が求められる中で、福祉制度との連携や共存をどう図るかという視点も、これからの人事戦略には不可欠です。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ