2024年11月22日
労務・人事ニュース
生活習慣改善を続ける人は37.8%、改善しない理由は「時間的余裕がない」
脳卒中や心臓病等に関する世論調査(令和6年7月調査)(内閣府)
内閣府が行った令和6年の「脳卒中や心臓病等に関する世論調査」では、3,000人の18歳以上の日本国籍を有する者を対象に、脳卒中や心臓病に対する国民の認識や意識を把握することを目的とした結果が示されています。この調査は郵送によって実施され、1,656人が回答し、回収率は55.2%でした。
調査では、脳卒中や心臓病への印象について尋ねられ、多くの回答者がこれらの病気に対し「怖い」という印象を持っていることが明らかになりました。「怖い印象を持っている」と答えた人は72.5%、「どちらかといえば怖い」と答えた人は23.2%で、合わせて95.7%に達しています。逆に「怖い印象を持っていない」と回答した人はわずか2.2%に留まりました。特に「死に至る場合がある」という理由が82.1%と最も多く挙げられており、次いで「日常生活中に突然発症する」や「後遺症が残る場合がある」ことも恐怖の理由として多くの支持を得ていました。
この調査では、脳卒中や心臓病の予防意識にも焦点が当てられており、生活習慣の改善に関する項目も含まれています。すでに6か月以上にわたり生活習慣を改善している人は37.8%で、改善に前向きな人が多い一方、改善をしないと答えた人も31.6%存在しました。改善しない理由としては「病気の自覚症状がない」(52.3%)や「生活習慣改善のための時間的余裕がない」(30.2%)などが挙げられました。さらに「改善がストレスになる」という理由も21.5%にのぼり、時間や経済的なゆとりが生活習慣改善への障壁となっている実態が浮き彫りになりました。
また、予防のために日頃から心がけていることとして、「野菜をたくさん食べる」(54.7%)、「体を動かす」(49.0%)、「食塩を取りすぎないようにする」(48.8%)が上位に挙がりました。こうした習慣が脳卒中や心臓病の予防に役立つと認識されている一方で、「特に心がけていることはない」と回答した人も9.8%見られました。
さらに、脳卒中や心臓病の疑わしい症状が現れた場合、76.5%の人が「すぐに救急車を呼ぶ」と回答しましたが、10.3%は「午前中は様子をみる」、1.0%は「夕方まで様子をみる」など、症状の様子を見ながら対応を決める人も存在しました。すぐに救急車を呼ばない理由としては、「症状が改善するかどうか見極めたい」(66.7%)や「緊急性が分からない」(51.3%)が挙げられ、即座の対応をためらう背景がうかがえます。
また、病院選びの基準については、かかりつけ医からの紹介(68.1%)が最も信頼されている情報源として挙げられました。次いで、病院のホームページ(41.8%)や家族・友人・知人の紹介(39.2%)が続き、公式な医療機関や知人からの情報が重視されていることが分かります。インターネットやSNSは情報源としてやや低めの利用率であり、伝統的な情報源への依存度が高い現状が浮かびました。
退院後の生活や支援についても調査されており、脳卒中の診断を受けた際にリハビリが重要であると考える人は99.0%に上り、その中でも93.8%が「非常に重要」と回答しています。リハビリの必要性を感じていることから、社会全体でのリハビリ環境の充実が期待されます。同様に、栄養管理や口腔ケアについても98.7%が重要と考えており、病気発症後の健康管理が生活の質を左右するとの意識が高まっているようです。
これらの調査結果は、脳卒中や心臓病に対する予防意識や治療後の支援に関して、国民の関心と不安が具体的に反映されたものといえます。特に、恐怖感が強い背景には突然の発症や後遺症の存在があり、生活習慣の改善が重要視されている一方で、その改善を妨げる要因も多く、政府や医療機関、地域社会による支援がさらに求められます。また、情報源としての信頼性やリハビリの必要性についての認識も高く、これらを踏まえた包括的な医療体制の構築が急務であることが示されています。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ