2024年8月19日
労務・人事ニュース
生活衛生関係営業の業況判断DIが15.7ポイント上昇、来期見通しは7.4ポイント低下へ
2024年8月8日 生活衛生関係営業の景気動向等調査結果(2024年4-6月期)日本公庫
2024年4月から6月にかけて実施された日本政策金融公庫による生活衛生関係営業の景況調査の結果が報告されました。この調査では、業況判断DIや売上DI、採算DI、利用客数DI、客単価DIといった複数の指標が取り上げられ、各業種ごとに詳細な分析が行われています。
まず、業況判断DIは前期から15.7ポイント上昇し4.7となりましたが、来期には7.4ポイント低下し、-2.7になるとの見通しが示されています。これは、全体的な業況が改善したものの、先行きに対しては慎重な見方が強まっていることを示唆しています。業種別では、映画館やホテル・旅館業などでは業況が改善している一方、理容業や美容業、社交飲食業などでは厳しい状況が続いているとの報告が見られます。
売上DIについては、前期から3.4ポイント上昇し11.3に達しましたが、こちらも来期には1.9ポイント低下し、9.4になる見込みです。これにより、売上の増加傾向が続く一方で、さらなる成長が期待できるかについては不透明な状況が続いています。特に、飲食業全体では、業況改善の兆しが見られたものの、材料費や光熱費の高騰が収益を圧迫しているため、今後の業況が楽観視できないという意見が多く見られました。
採算DIも前期から8.5ポイント上昇して1.8となり、黒字を維持する企業の割合が増えていますが、来期の予測に対しては引き続き不安が残る状況です。多くの企業がコストの増加に苦しんでおり、特に小規模な店舗では、これを価格に転嫁することが難しいという現実が浮き彫りになっています。経営者たちが抱える最大の課題として、「仕入価格・人件費等の上昇を価格に転嫁困難」と回答した企業が全体の56.6%を占めており、これは顧客数の減少や店舗施設の狭隘・老朽化と並ぶ重大な問題とされています。
さらに、利用客数DIは前期から5.3ポイント上昇して-2.4となり、客単価DIも前期から3.5ポイント上昇して12.9に達しています。これらの指標からは、一部の業種で客数や単価の改善が見られるものの、全体的にはまだ回復基調には至っていない現状が浮き彫りになっています。特に、飲食業においては、夏場に向けた需要の増加が期待される反面、仕入価格や人件費の上昇が利益を圧迫し続けているとの指摘が多く見られます。
また、設備投資に関する調査では、2024年4月から6月に設備投資を行った企業の割合は前期から2.2ポイント上昇し、18.7%となっています。投資の内容としては、「機器・機械(空調設備、照明設備、情報化設備を除く)」が39.9%と最も多く、続いて「店舗・事務所の修繕」や「空調設備」が上位に挙げられています。投資額の内訳を見ると、500万円未満が全体の7割以上を占めており、多くの企業が慎重な投資を行っていることが伺えます。
このように、2024年4月から6月期における生活衛生関係営業の景況調査では、全体的な業況がやや持ち直しているものの、依然として多くの不安材料が残っていることが明らかになりました。特に、コストの増加を販売価格に反映できない現状や、客数の回復が限定的である点が、経営者たちにとって大きな課題となっています。この報告書は、日本政策金融公庫のウェブサイトでも公開されており、各業種ごとの詳細なデータや経営事例が参照可能です。関係者は今後の経営戦略の参考として、ぜひ一読をお勧めします。
⇒ 詳しくは日本政策金融公庫のWEBサイトへ